特定技能外国人、熊本県内で活躍中 対象分野を拡大、貴重な戦力に
ネパールからの〝売り込み〟も 孤立しない環境づくりが重要 熊本労働局によると、熊本県内で特定技能の在留資格で働く外国人は2019年の制度創設以来、着実に増えている。特に22年から23年にかけては76%増と大きく伸びた。 制度創設から5年目に入り技能実習生からの移行が増えたほか、人手不足で受け入れに乗り出す企業の増加、新型コロナウイルスによる渡航制限解除が影響したとみられる。 政府は今年3月、特定技能の対象に自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野を追加することを閣議決定。準備が整った業種から順次、外国人材の受け入れが始まっている。 10月末、ネパールのドゥルガ・バハドゥール・スベディ駐日大使が熊本市を訪れた。訪問先の一つに選んだのは県トラック協会(東区)。トラックドライバーなど自動車運送業の特定技能〝解禁〟に当たり、自国の人材供給力をアピールする狙いだった。 熊本県内で特定技能の在留資格で働くネパール人は昨年10月末時点で114人。出身国別ではベトナム(981人)、インドネシア(536人)、フィリピン(439人)、ミャンマー(135人)に次いで5番目に多い。
ネパールの労働者にとって日本は「賃金や文化面で魅力が高い」という。中でも熊本は台湾積体電路製造(TSMC)の進出で経済が活性化するとみて、ひときわ熱い視線を注ぐ。スベディ大使は県トラック協会の幹部を前に「毎年約千人のネパール人を熊本に送る準備は既に整っている」と力を込めた。 トラック業界は物流の「2024問題」に直面している。県トラック協会の下川公一郎会長は「実際に採用するのはまだ先」としつつも、「持続可能な物流を実現するためには、外国人材が必要になってくる」と見通す。 政府は特定技能の外国人を28年度には最大82万人と、現行見込み数の2倍に拡大する方針。県内でも増えていくのは確実だ。 外国人労働者の定着を目指す任意団体「KUMAMOTO KURASU(くまもと くらす)」の木下俊和事務局長は「企業は外国人労働者が孤立しない環境をつくり、行政は日本語教室開設に助成するなどして、熊本で長く暮らしたいと思えるように取り組むことが大切だ」と助言する。(岩崎皓太)