トランプ氏「それで暮らしやすくなったのか」…物価に腹を立てた白人労働者が結集[トランプ当選](2)
◇「ブルーウォール」崩壊させた怒れる「男性軍団」 トランプ氏の戦略に最も強く同調した階層は家庭経済を引っ張る男性有権者だった。特に白人男性たちはトランプ氏が「ブルーウォール(blue wall)」と呼ばれる伝統的民主党強勢地域であるペンシルベニア・ミシガン・ウィスコンシンなどのラストベルト(rust belt・衰退した工業地帯)の激戦州3カ所をすべて席巻する核心支持層だった。 これら3州は民主党の強い地域だが、2016年大統領選挙の時に白人男性たちの圧倒的支持の中でこれら3州はすべてトランプ氏を勝利に導いたが、2020年大統領選挙では再び民主党候補であるバイデン氏を選んだ。 トランプ氏の立場ではこのような「敵陣」を奪還し、当初薄氷の勝負が予想された大統領選挙の局面を完勝に変えた。トランプ氏の逆転には今回も白人男性労働者の心が決定的だった。CNNの全国出口調査で、白人男性の59%がトランプ氏を支持し、39%にとどまったハリス氏を圧倒した。ラストベルト3カ所でトランプ氏が得た白人男性の支持率は58~59%で全国基準支持率と大差なかった。 ◇黒人・ヒスパニック系男性が加勢…白人女性の結集には限界 トランプ氏は北部激戦州で白人だけでなく黒人とラテン系男性の支持を引き出すことにも成功した。全国基準黒人有権者は86%対12%でハリス氏を支持したが、これは4年前93%に達する圧倒的な黒人の支持で当選したバイデン氏の時とは違いがある。 特に黒人男性の20%、ラテン系男性の53%がトランプ氏を支持したことが分かった。それぞれ7%と37%に終わった黒人女性とラテン系女性支持率とは有意味な違いを見せた。 反面、今回の選挙の核心イシューで中絶など女性の生殖権を前面に出して女性投票者の結集を試みたハリス氏の戦略は、高物価と雇用不安に追い込まれたラストベルト内の白人女性の賛同を完全に引き出すことには失敗したとみられる。 全国基準女性有権者は54%対44%でハリス氏により高い支持を送った。しかし白人女性は47%対52%でむしろトランプ氏を支持したことが分かった。ハリス氏に92%の票の集中させた黒人女性とは完全に違った結果だ。 ◇黒人男性、「最初の黒人女性大統領」の前に立ちはだかる ハリス氏が拡張を試みた南部サンベルト一帯でも少なくない黒人・ヒスパニック系男性はハリス支持から離脱してトランプ氏を選んだ。16人の選挙人団がかかっていて、ペンシルベニアに劣らず核心の戦場に浮上したジョージアとノースカロライナの黒人男性はそれぞれ16%と20%がトランプ氏に投票した。ネバタでは彼らのトランプ支持率が25%に達した。これによってこれら3カ所で得たハリス氏の黒人支持率はそれぞれ87%・86%・81%を記録し、アリゾナでは75%まで落ちた。 結果的に黒人人口比率が米国全体で最も高いジョージアとノースカロライナに居住する黒人男性が最初の「黒人女性大統領」を狙ったハリス氏を落選させるのに一定の役割を果たす格好になった。 トランプ氏は南部激戦州で不法移民問題を積極的に提起して「不法移民者が黒人とヒスパニック市民権者などの雇用を奪っている」という論理を前面に出したが、ヒスパニック男性もトランプ氏の主張に大きな共感を示したことが分かった。 全国ヒスパニック男性のトランプ支持率は53%で、むしろハリス氏を上回り、特にノースカロライナとネバタではヒスパニック系男性のトランプ氏支持率が60%と56%を記録した。