地元・新潟に戸惑いと巻き返しへの期待 佐渡金山の世界遺産「情報照会」勧告で
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)が、世界文化遺産登録を目指す新潟県の「佐渡島の金山」について4段階評価で2番目に高い「情報照会」と勧告したことを受け、最も高い評価の「登録」を期待した地元・新潟県では、戸惑いと巻き返しへの期待が交錯した。 イコモスは佐渡金山について「遺産登録を考慮するに値する価値を有する」とその顕著な価値を認めた上で、追加情報を求める「情報照会」を勧告した。 花角英世知事は勧告から一夜明けた7日、新潟市中央区の県庁で報道陣の取材に応じ、「勧告内容を丁寧に分析し、イコモスの真意を探らなくてはいけない」とした上で、「7月に開かれる世界遺産委員会で委員国の理解を得られるよう、国や佐渡市と連携して対応していく」と語った。 文化庁によると、登録の可否を決める昨年の遺産委では「情報照会」の勧告を受けた6件全てが「登録」に格上げされた。同県佐渡市の渡辺竜五市長は「遺産委での登録を目指し、引き続き全力で取り組む」と前を向いた。 市民団体「佐渡を世界遺産にする会」の中野洸(こう)会長(83)は「活動を始めて四半世紀。最高の評価を期待していただけに残念」と戸惑った様子。一方で、「遺産委で登録となるよう政府は頑張ってほしい」と期待を寄せた。 中野さんは県議時代の平成9年、佐渡市で会の前身となる「世界文化遺産を考える会」を設立。県や同市が登録活動を本格化させるきっかけをつくった。