エンブラエル、E175にE2客室仕様や衛星接続 国際航空宇宙展出展、C-390もアピール
ブラジルのエンブラエルは、東京ビッグサイトで10月16日から開かれる航空宇宙防衛分野の展示会「JA2024(2024年国際航空宇宙展)」に出展する。世界3位の航空機メーカーとして、民間機部門はEジェットファミリー、防衛分野は中型輸送機C-390「ミレニアム」、eVTOL(電動垂直離着陸機)を手掛けるEve Air Mobility(イブ・アーバン・エア・モビリティ)に関連した展示を行う。 【写真】ファンボロー航空ショーで展示飛行するE195-E2とKC-390 日本国内でEジェットは、日本航空(JAL/JL、9201)グループのジェイエア(JAR/XM)と、鈴与(静岡市)傘下のフジドリームエアラインズ(FDA/JH)が導入。今回の出展で、民間機部門ではE175の機能強化やE2ファミリーの改良をアピールする。 E175には、E2で採用された大型のオーバーヘッドビン(手荷物収納棚)やムードキャビン照明、新型のレカロ製シート、マルチバンド衛星接続が可能になる。Ku/Kaバンドの衛星接続は2026年までにレトロフィット(既存機への取り付け)が可能になる。また、データ転送ソリューションと気象レーダーがE2相当にアップグレードされ、フライトデータの無線転送に対応し、次世代気象レーダーは乱気流の検知や警告、ウインドシアの予測などができる。 「Eジェット」(E1)の次世代機E2ファミリーは、燃費改善や皇族距離の延長、エンジンの運用時間延長、客室の最適化などの改良を実施。離陸性能を最適化する「E2TS(E2 Enhanced Take Off System:E2児童離陸装置)」は、離陸に必要な滑走路長を短縮する。 E2は従来のE170とE175、E190、E195の4機種で構成するEジェットの後継機で、E175-E2とE190-E2、E195-E2の3機種で構成。新型エンジンや新設計の主翼、主脚の格納した際のドアなどで、燃費を向上させた。1クラス構成の標準座席数は、E175-E2が88-90席、E190-E2が106-114席、E195-E2が132-146席となる。 C-390は最大ペイロードは26トン、航続距離は26トン搭載時が2000キロ(1080海里)、フェリー時が6241キロ(3370海里)、最高巡航速度はマッハ0.80(470ノット)で、貨物や物資、部隊の輸送、捜索救助など、多目的に運用できる。ロッキード・マーチンのターボプロップ戦術輸送機C-130「ハーキュリーズ」の置き換えなどで採用が進んでいる。 これまでにエンブラエルの母国ブラジルのほか、ポルトガル、ハンガリー、オランダ、オーストリア、チェコ、韓国が選定。南アフリカ共和国にも導入を働きかけている。ブラジルとポルトガルは空中給油・輸送型のKC-390、ハンガリーとオランダ、オーストリア、チェコ、韓国は空中給油機能がない輸送機C-390を選定した。 イブはエンブラエル系の独立企業で、eVTOLを開発中。ニデック(旧日本電産、6594)とエンブラエルの合弁会社「Nidec Aerospace(ニデック・エアロスペース)」が航空宇宙分野向け電機駆動システム(EPS)を開発し、イブが最初の販売先になる。
Tadayuki YOSHIKAWA