日本中の“パチンコ”を集めた…!74歳のパチンコマニアが、自宅を大増築してまで博物館を作った「衝撃の理由」
パチンコのルーツが気になってしょうがない
杉山さんが小学生の頃は、パチンコの廃棄台が出ると鉄くず屋に運ばれ、そこでは子どもの小遣いでもパチンコ台を買うことができた。銭湯に行く途中には鉄くず屋がたくさんあり、杉山さんはそこでパチンコ台を買っては玉を弾いて遊んでいた。さらにパチンコを題材としたマンガ『釘師サブやん』を読むなど、小さい頃からパチンコに触れる機会は多々あったそうだ。 しかし、杉山さんはずっとあることが気になっていた。それは、「一体、誰がパチンコを考えたのか」ということ。 「私にとって、楽しかった過去を懐かしむノスタルジーがパチンコにはあるんです。物事には必ずルーツがあるわけですが、そうした思い入れのあるパチンコのルーツが気になって仕方なかったんですよ」 そこで、杉山さんはパチンコの歴史について調べ始めた。その調査は、たくさんの手打ち式パチンコ台を収集していた古物店を営む麻生喜正(あそう・よしまさ)氏との出会いによって本格化していくこととなる。 麻生氏との出会いから間もないタイミングで、現存する最古のパチンコ台を発見。台に見られる「岡製作所」の特許番号から製造年数を明らかにするため、特許庁に足を運んでは、台帳を一枚ずつめくって特許番号を探し当てたりもした。 さらにはパチンコ自体の歴史のみならず、その元となったバガデール(※1)、ウォールマシン(※2)の歴史を調べるため、調査範囲は海外にも及んだ。ウォールマシンやバガデールがいつどこで作られたか、誰も足を踏み入れていないパチンコの歴史をとことん深堀りしていった――。 ---------- (※1)玉をついて入賞口に入れるビリヤードに似たゲーム。パチンコ、ピンボール、スマートボールなどの始祖とされる。 (※2)明治32年、イギリスでバガテールが縦置きになり、コインマシンになったことにより誕生した。 ---------- つづく後編記事『「パチンコのすべてを伝えて死にたい」…! 74歳パチンコマニアがたどり着いた「衝撃の事実」と「たった一つの願い」』では、調査を進めた結果、わかった「意外ともいえる事実」について、詳報します。
丹治 俊樹(ライター)