早大の2年生FBがイングランド戦で代表デビュー ジョーンズHC「彼は日本の未来」
早稲田大学2年の若武者が鮮烈デビューを飾った。エディー・ジョーンズHCの再任後初のテストマッチとして6月22日、「リポビタンDチャレンジカップ」が東京・国立競技場で開催され、ラグビー日本代表がイングランド代表と激突。昨年のワールドカップ3位の強豪のフィジカルとキック戦術に後手に回り、日本代表は17-52で大敗したが、最年少のFB矢崎由高(桐蔭学園)が先発出場し、日本代表初キャップを得た。 【写真】ジョーンズHCが掲げる「超速ラグビー」も、「少しはできたかな」と頼もしい
55分間出場「ほどよい緊張感でできた」
大学生の初キャップ獲得は2017年の香港代表戦で帝京大学4年(当時)だったHO堀越康介(現・東京サントリーサンゴリアス)以来となり、ハイパフォーマンスユニオン(=旧ティア1、世界の強豪10チーム)との対戦での大学生の先発は、2017年6月のアイルランド代表戦でFBとして出場した野口竜司(当時東海大4年、現・埼玉ワイルドナイツ)以来の快挙となった。 15番を背負って後半15分まで出場した矢崎は「(試合)前日、イングランド戦で先発させてもらうという実感が湧いて、人生で一番くらいに緊張しました。逆に試合当日はほどよい緊張感でできたかな。相手のハイボールと前に出るプレッシャーディフェンスをかいくぐることはできなかったけど、チーム全体として超速ラグビー、速くセットしてモメンタムを作ってラグビーをしていくというのは少しはできたかな」と振り返った。 昨年、大学1年生ながら〝飛び級〟でU20日本代表に選ばれ、世界大会でプロ選手たちと遜色ない活躍を見せ脚光を浴びた矢崎。秋から冬にかけては1年生ながら早稲田大でも躍動した。今年もU20日本代表候補に選出され、4月にはU20日本代表候補で構成された「JAPAN XV」の一員として「パシフィック・チャレンジ」に参加。3連勝の優勝に寄与した。同大会でのトップスピードは時速35.5kmで世界の快足ランナーと同レベルだったという。
試合2日前、練習生から昇格し先発入り
1月に日本代表の指揮官に再び就任し、「大学生の成長を加速させたい」と強調していたジョーンズHCは、ポテンシャルのある矢崎を放っておくことはなかった。6月の日本代表宮崎合宿にトレーニングメンバー(練習生)として招集し、「イングランド代表戦に出場する可能性はある」と公言。矢崎は初日から参加して、「チャンスをつかみにいかない理由はない。試合に出るために全力で努力したい」と、主力組として汗を流していた。 SH藤原忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)とホテルで同部屋だったという矢崎。「日本のトップに参加できてうれしい。今まで自分がやってきたカテゴリーとは周りの選手が違うし、強度やスピードも全然違うので早く順応したい。自分の強みのランニングを出してアピールしていきたいし、大きく成長できる場だと思うので、めいっぱい楽しんで何段階もレベルアップしたい。エディーさんには『もっとコミュニケーションの量を多くしろ』とずっと言われています」と話していた。 試合2日前のメンバー発表で、15番に矢崎の名があった。練習生からの昇格も意味していた。ジョーンズHCは矢崎を先発に起用した理由を聞かれて「パシフィック・チャレンジにおいて断トツのベストプレーヤーで、日本代表の合宿に連れてきたのですが、練習するたびにどんどん良くなっていった。彼は日本にとって素晴らしい未来です。だからとても簡単な決断でした。もちろん、若い選手を選ぶときは、その選手が精神的に十分成熟しているかどうかを常に意識していますが、彼がこの状況に対応できるのは明らかです」と説明した。