女子も奮闘 大阪・生根神社 夜空を焦がす巨大「だいがく」
赤いご神灯が回りながら夜空を焦がす
古老たちの渋いだいがく音頭に合わせて、だいがくの上で中学生たちが太鼓を打ち鳴らす。ふたりひと組になり、全身の体重をかけてたてものの横棒を押したり引いたりすると、たてものが勢いよく回転する。赤いご神灯が弧を描きながら夜空を焦がす。 だいがくに見入っていた堺市在住の30代女性は、夫や5歳女児、3歳男児とともにやってきた。母の実家が西成にあるため、幼いころから夏になると、母に連れられてだいがく見物に。「毎年夏が来るのが楽しみでした。太鼓を打つ男の子たちがうらやましかった」と懐かしむ。 夫と子どもたちは、だいがく初体験。3歳男児は当初、だいがくの迫力に泣き出したが、「もうこわくない。もっと近くで見たい」と、たくましく訴えていた。 夫は「だいがくには長い伝統があるようですが、僕らからみると、だいがくはとても新鮮に感じますね」。だいがくはすらりとしたシルエットが凛々しく、音頭に合わせて回転する動きが加わることで、ビジュアル的インパクトが強まるようだ。
重さ1・5トンの中だいがくが練り歩く
同神社に隣接する玉出西公園で、だいがくの文化財指定を記念して新造された中だいがくと女性だいがくの奉納実演が披露された。中だいがくは重さ1・5トン。通常は62名で担ぐが、初日は西成区長を含む地元の区役所職員25名が加わり、総勢87名で担いだ。 定刻を迎え、広場に展示されていただいがくに担ぎ手たちが集結。だいがくを下支えする留め具を外すと、だいがくは一瞬ぐらりと揺れたものの、無事担ぎ手たちの肩に担がれた。夏の夜空を借景に、だいがくがゆっくり広場を練り歩く幻想的な光景だ。 クライマックスは頭上担ぎ上げ。音頭取りの「サッセーヨ!」の掛け声を合図に、担ぎ手全員が肩に担いでいただいがくを、重量挙げのように腕を伸ばして頭上まで差し上げる豪快な技だ。4トンのだいがくが頭上に舞う。見事に決まると、観客から大きな歓声が沸き上がる。 担ぎ手のひとりは「『サセヨ』とは、だいがくを腕で『差し上げよ』という意味。全員の呼吸が合わないと傾いて危険ですが、心をひとつにして気合を入れると、グイと上がる。気持ちいいですよ」と説明する。 30代で、日ごろはIT関連業種でパソコンに向かう毎日だが、だいがく担ぎ歴は20年。最初は「だいがくは大きいので、怖くて台の上にも上れなかった」そうだが、「今では体が担ぎ方を記憶して、勝手に動いてくれる」と自信を示す。