大事な犬・猫守る自信ある?災害時はペットも大パニック!飼い主が万一に備えておきたい防災「か・き・く・け・こ」
遠くまではいかない!自宅の周りにいるはず!
德田院長によると、安全が確認され帰れる段階で自宅に帰った方がいいという。犬や猫はパニックで外に出たとしても、長旅をするということはなく、自宅の50メートル範囲内で潜んでいることが多いので、家の周りを探すのがよい。 「家が崩れたとしても倒れたとしても近くに絶対いますから。飼い主さんが名前を呼ぶのが一番なので、家の周りを探してあげてください。1、2週間出てこない子もいますが、それでも近くにいるはずなので」 ペットを見つけたら、外傷がないかしっかり見てほしい。災害時は、割れたガラスの上でペットがぴょんぴょん飛び跳ね、手足の肉球(パッド)が切れて出血していることが多いそうだ。 こうした際には、病院に行く必要がある。ただ家で一緒に被災したパターン同様、精神的ショックを受けている子も多いので、一緒にいて様子を見てあげることも大切だ。
リードを離すな!
最後に、散歩中などで飼い主もペットも外で被災した場合について聞いた。 「リードは絶対に離しちゃだめです!」 德田院長が特に強調していた点だ。外にいると、リードがペットの命綱のようなもの。もし離してしまえば、ペットは興奮で走って行きあっという間にいなくなってしまうのだという。 また、家にすぐには帰れない場合に備え、近くのペット同伴の避難所を日頃から探しておくことも重要だ。
ペットの防災「か・き・く・け・こ」
ここまでペットと被災した時を3パターンに分け、それぞれの対処法について紹介してきた。では、普段からペットとの防災に備え特に意識すべきことは何だろうか?德田院長はペットと暮らす飼い主に向け「か・き・く・け・こ」を提唱している。 まず、“飼い主のマナー・責任”の「か」。具体的には、常にトリミングをして手入れをすることなどを指す。避難所などでペットが嫌われることとして、よく「におい」や「ノミ・ダニ」などがあがるそうだ。周囲に不安を与えないために、飼い主はペットの見た目もしっかりきれいにしておく必要がある。 また、マイクロチップやネームタグは、いなくなったペットが保護された際に、誰が飼い主なのかがすぐに判明するのに役立つという。 次に“キャリーバッグ”の「き」。ここで気をつけるべきは大きさだ。「せまければせまいほどいい」という德田院長。せまくてかわいそうだからと不必要に大きなサイズにしてしまうと、飼い主は持ち運ぶ時に大変で、ペットもごそごそ動き回るようになり落ち着かないはず。中でもおすすめは、自立するタイプのハード型。 食事を中で食べさせるなどして、普段からキャリーバッグに入ることに慣れさせておいた方がいいという。ペットをケージの中で飼っているという人も、ケージの中にキャリーバッグを入れて、安心できる場所というポジションを確立しておくことが重要だ。複数ペットを飼っている場合も、なるべく1匹1台分のキャリーバッグを持っていた方が良い。 一方で、スリングと呼ばれるペット用の“だっこ紐”は、ペットを抱えながらも両手をあけ作業ができるので便利。体にぴったりペットをつけた状態にもなるので、ペットも安心するのだという。 キャリーバッグとスリング両方を持っているのが一番良い対策だと話す。 次に“薬・ごはん”の「く」。薬やごはんは1カ月分常備しておくことが重要。地震などで動物病院も潰れてしまった場合などは、供給がすぐには期待できない。アレルギーの薬や心臓病の薬など普段から飲んでいる常備薬は必ず準備しておいてほしいと話す。 他にも、備蓄品としてストックした方が良いのはトイレ用品。犬であればペットシーツ、猫であればトイレの砂が必要だそう。猫は習性があるため訓練をせずとも砂さえ持っていればそこで用を足すが、犬はしっかり訓練をしておくことが大切だ。 続き、“健康管理”の「け」。主には、ワクチン接種を指す。 犬であれば、基本1年に1回はフィラリア、狂犬病、混合ワクチンの3種類を絶対にしてほしいと語気を強めた。猫も混合ワクチンの接種が大切だという。 さらに、飼い主のできるボディチェックとして、特に「目」と「体重」をしっかり見ることがあげられた。目やにが出ているのは弱っている証拠。体重に関しては、いきなり増減するのが危険なので、一定の体重を保っているかがチェックポイントだ。予防注射をかねて、最低でも1年に1回は健康診断に行ったほうがいいという。 最後は“行動・しつけ”の「こ」。避難所では犬が「吠える」ことも特に嫌われる点になるので、吠えないしつけをしておきたい。1~2歳くらいまでで、人や他の動物にどれだけ慣れているか、いわゆる「社会化」が出来ているかがその後の分かれ道になるようだ。 「1歳になるまでに100人の人に会わせなさいと言われているので、できるだけ多くの人や他の動物に接触してほしいです。大きくなってくると社会化できない。旅行する時にペットホテルに預けたりして人慣れさせ、社会化させることが重要です」 ペットの防災「か・き・く・け・こ」を意識して災害に備え、いざ災害が起きてもそれぞれのパターンで前述したような行動を取ることが重要だと話す德田院長。ペットには人間の感情が伝わるからこそ、落ち着いて最適な行動をとれるように日頃から気に留めておきたい。 德田竜之介 獣医師。竜之介動物病院(熊本市)院長。 麻布大学大学院獣医学修士課程を修了後、1994年に竜之介動物病院を開院し、365日診療を行う。九州動物学院の理事長を務め、動物業界に携わる若者の育成にも力を入れる。書籍『どんな災害でもネコといっしょ』『どんな災害でもイヌといっしょ』(小学館)などを監修。 データ出典:株式会社インテージ「ペットに関する調査結果」(2024年2月公開) ペットの熱中症についてはコチラ↓
プライムオンライン特集班