6月のFOMC結果から読み解く金融政策の先行き 今後、注意すべきポイントは?
6月14日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文、記者会見の内容は総じてみれば、大方の予想どおりで意外感のないものでした。もっとも、FOMCに先立って発表された米消費者物価(CPI)が、インフレ率が2%に向けて加速していくという連邦準備制度理事会(FRB)の見通しに疑問を投げかける結果だったため、先行きの金融政策は少し読み難くなりました。(解説:第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一)
今回のFOMCで事前に注目されていたことは(1)政策金利(FFレート)引き上げの有無、(2)ドットチャート(FOMC参加者による政策金利の見通し、下図参照)に修正が加えられるか否か、(3)FRBのバランスシート縮小開始についてメッセージがでるか否か、この3点でした。 (1)のFFレート引き上げに関しては大方の予想どおり25pの利上げが決定され1.250%となりました(※正確には1.00%~1.250%)。こちらに関しては何ら意外感のない結果です。 (2)のドットチャートの中央値は2017年18-19年末、長期均衡に変化がなく、2017年3回の利上げ(2回分は3・6月に実施済)、2018年3回の利上げシナリオが維持されました。このドットチャートは3カ月に一度発表され、イエレン議長をはじめとするFOMC参加者が描く政策金利の見通しを“点”で表したもので、その中央値は「中心的な見方」と読み替えることができますから、その上下は利上げ計画の変動を意味します。それゆえ、市場参加者の注目度が極めて高いというわけです。今回新たに発表されたドットチャートは3月時点のそれとほとんど変化がありませんでしたので、3月時点で描かれていた利上げ計画が変更されていないと解釈するのが妥当です。 一方、金利先物から逆算した市場参加者が織り込んでいる利上げ回数は2017年が0.5~0.6回程度とまずまずの織り込み度合いですが、2018年はわずか0.6~0.7回程度と利上げ継続が疑問視される状態となっています(2018年の利上げ回数は17年に3回の利上げが実施されたと仮定して算出)。2017年の3回目の利上げは経済指標の弱さを“一時的”として封じ込め、利上げを断行すると市場参加者は想定しているようですが、さすがに2018年は中央銀行制度(FED)がインフレ率の弱さなどを無視できなくなる状況を想定しているものと思われます。