『憐れみの3章』ヨルゴス・ランティモス監督こだわりの撮影技法にフォーカスした特別映像公開
9月27日(金) より公開される映画『憐れみの3章』より、特別映像が公開された。 本作は、第96回アカデミー賞で4部門を受賞した『哀れなるものたち』のヨルゴス・ランティモス監督の最新作で、同作で主演女優賞を受賞したエマ・ストーンのほか、ウィレム・デフォー、マーガレット・クアリーが再集結。ランティモス監督ならではのユーモラスでありながらも、時に不穏で予想不可能な独創的世界を描き出す。 【動画】『憐れみの3章』特別映像 公開されたのは、ランティモス監督の独創的世界を際立てる撮影技法にフォーカスした特別映像。本作でランティモス監督が作り出す映像美を支えるのは、『女王陛下のお気に入り』『哀れなるものたち』でランティモス監督とタッグを組んだ撮影監督のロビー・ライアン。エマ・ストーンとジェシー・プレモンスも絶賛するふたりの再タッグに本編への期待が高まる特別映像が到着した。 映像では、ライアンが「ヨルゴスは天性の撮影監督だ。撮影の感性が他の監督を超越してる」と絶賛するとともに、カメラを構えるランティモス監督を捉えた撮影風景を交えながら、ランティモス監督へ提案したという〈アナモフィック〉による撮影を紹介。アナモフィックは、映画撮影用のレンズで被写体を圧縮させて撮り映写時に元に戻す手法で、ランティモス監督自身も「アナモフィックは独特だ。違ったことをしたかったんだと思う」と振り返る。 そんなふたりのタッグをストーンは「熟練のロビーと構図にこだわるヨルゴスが独特な絵を生む」と説明し、続けてプレモンスが「コマがとにかく美しい。達人のロビーとヨルゴスのペアは強い」と、ふたりのタッグからのみ生まれる映像美を称えている。また、ライアンはランティモス監督作品では欠かすことができない35mmフィルムでの撮影にも言及している。 さらに本作はライアンのみならず、『哀れなるものたち』に続き作曲家のジャースキン・フェンドリックスと、『籠の中の乙女』以降複数の作品をランティモス監督と共に手掛けた脚本家のエフティミス・フィリップが参加。『哀れなるものたち』でアカデミー賞作曲賞にノミネートを果たしたフェンドリ ックスとの仕事を「最高」だと語るランティモス監督。作曲家を作品に起用するようになったのはフェンドリックスのおかげだといい、「ジャースキンは『哀れなるものたち』のときと同じように、映画のひとコマも観ないうちに本作に取り組んでくれました。最初に了解しあったことは、『今回はピアノと合唱を使おう』ということでした。『哀れなるものたち』とはまったく違う方向性でした。編集になると、ジャースキンは音楽のサンプルを持ってきました。それが画(え)にぴったりと合いました」と、フェンドリックスが脚本と撮影現場で撮ったモノクロ写真だけで、ランティモス監督の思い描くままの音楽を作り上げた製作の裏側を明かしている。 エフティミス・フィリップは『籠の中の乙女』『ロブスター』『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』など、初期からランティモス監督と共同作業を行ってきた。自身と非常に似た感性を持つ人物だと評するフィリップについてランティモス監督は、「私たちは互いのアイデアを元に新たに構築することができます。どちらかが物語を思いついたら、もうひとりがそれをより面白く、より複雑に練り上げる。その手法が僕らにとってとても良く機能している。だから一緒に仕事を続けているのです」と関係性を語ると、フィリップは「私たちのやり方は⻑年ずっと変わっていません。互いによる草稿のやりとり、相互の信頼、意見の相違、そして再び相互の信頼、というものです」と語り、信頼関係がふたりを結び付けていることを語った。 <作品情報> 『憐れみの3章』 2024年9月27日(金) 公開