「このままだと社会で通用できない…」“ゆるいブラック企業”に若者が不安
2023年のヒット書籍をランキング化した『第16回オリコン年間“本”ランキング2023』で20位。「1番売れてるマネジメント書」として注目の『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)。シリーズ122万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』、待望の続編で、著者の安藤広大氏が、「人の上に立ち続けるための思考法」というテーマのもと、優秀なビジネスパーソンになるためのポイントをわかりやすく解説している。同書から、働く若者の不安について解説した内容を、一部抜粋して紹介する。 【写真】「成長しないチーム」とは…問題を指摘する著者・安藤広大氏 ■「ゆるさ」は新しいブラック企業だ ブラック企業という言葉が一般化しました。2010年頃から使われ出した言葉で、「過重労働」や「パワハラ」が横行する会社のことを指します。その言葉が登場したことで、働き方における問題点が浮き彫りになり、職場はみるみる改善されていきました。 「定時で上がれるようになった」「有休が取りやすくなった「上司からの叱責がなくなった」など、働きやすさを感じることが多くなったことでしょう。 しかし、今度は、若者を中心に新たな不安が生まれているそうです。 「厳しいフィードバックがなくて、成長できない」「もっとバリバリ働きたいのに、与えられる仕事量が少ない」「自分に負荷がなく、このままだと将来、社会で通用しなくなりそうで怖い」そういった「成長できないことへの不安」を感じはじめています。 ブラック企業と呼ばれることを恐れるあまり、もっと働きたい若者たちから「成長する機会」を奪っている側面が表われているのです。その結果、「ゆるいブラック企業」という新たな言葉が生まれています。この不安はどうやって解消されるのでしょうか。 ■「頑張りたい」を奪われた若者たち その一方で、「ハードワークだけど成長できる環境」で働く価値が増しています。コンサル業が人気だったり、ベンチャー企業に転職する人が増えています。なぜなら、膨大な仕事量をこなすことで、圧倒的に成長できるからです。 ここであまり体育会系的なことは言いたくありません。ただ、40代や50代で要職に就いている人や、私の経営者の仲間たちは、口を揃そろえて、「若い頃にバリバリ働いた経験が、その後の財産になっている」と語ります。とはいえ、もちろん体を壊すまで働く必要はありません。 選ぶのは本人の自由です。ただ、もっと働きたいのに、その負荷を与えられる機会が奪われてしまっているのは、やはり問題があると思わざるを得ません。 キツいブラック企業と、ゆるいブラック企業。どちらにも共通するのは、「明文化されていない」「境界線が曖昧になっている」という点です。 人の上に立つ人は、「線引き」が求められます。この責任が果たされていないから、どちらかのブラックに偏るのです。 「書いてある通りに結果を出したのに、なぜか評価されない」 「書いてあるような結果を出していないのに、なぜか評価される」 前者が境界線のない「キツいブラック企業」。 後者が境界線のない「ゆるいブラック企業」。 どちらも構造は同じです。必要以上に許されなかったり、必要以上に許されたりする。また、属人化によって評価に個人差が生まれたりもする。だから、きちんと成長したい若い人が納得できず、辞めていくのです。 ■プロフィール 安藤広大/株式会社識学 代表取締役社長。1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、衝撃を受け、2013年に独立。識学講師として多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年あまりで上場を果たし、これまでの8年間で約4000社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ122万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』(ともにダイヤモンド社)がある。