同じ大学を卒業した友人が「課長」に昇進したそうです。役職者は「残業代がつかない」と聞いたことがあるのですが、年収ってそんなに変わるのでしょうか?
「管理職などの役職に就くと残業代がつかない」と耳にしたことがある人はいるのではないでしょうか。実際、役職者の中には残業代がつかない社員もいます。 ただし、労働基準法にのっとると「管理監督者(監督または管理の地位にある者)には労働時間、休憩、休日に関する規定は適用しないため、残業手当などを支払う必要がない」という表現が正しいです。 そこで今回は、「管理監督者」の定義について紹介します。合わせて、役職者と非役職者の賃金の差についてもみていきましょう。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
「管理監督者」の定義
一般的に、役職者は残業手当がつかないといわれていますが、必ずしもすべての場合に当てはまるわけではありません。役職者としての地位にあり、労働基準法上の労働時間、休憩および休日に関する規定が適用されない社員は、「管理監督者」に当たる場合のみです。 厚生労働省東京労働局によれば、管理監督者とは「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」です。 管理監督者は、労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日の制限を受けませんが、管理監督者に当てはまるかどうかは、役職名ではなく、その職務内容、責任と権限、勤務態様、待遇を踏まえた実態によって判断されます。 同じく厚生労働省東京労働局によると、「管理監督者」に該当するのは以下の3点にあてはまる人です。 1.経営者と一体的な立場で仕事をしている 管理監督者は経営者に代わり同じ立場で仕事をする必要があり、その重要性や特殊性から労働時間の制限を受けません。また、経営者と一体的な立場で仕事をするために、管理監督や指揮命令に関する一定の権限を経営者から委ねられる必要があります。 リーダーや課長といった肩書きであっても、自身の裁量で行使できる権限が少なく、多くの事案において上司に決裁を仰ぐ必要があったり、上司の命令を部下に伝達するだけだったりする場合は管理監督者とはいえません。 2.出社や退社、勤務時間について厳格な制限を受けていない 管理監督者は、労務管理において一般従業員と異なる立場に立つ必要があるため、自身の出退勤時間を厳密に決めることができません。また、勤務時間の制限がないため、出退勤時間も自身の裁量に任される必要があります。遅刻や早退により給料や賞与が減らされるような場合は管理監督者とはいえません。 3.賃金などについて、その地位にふさわしい待遇がなされている 管理監督者は職務の重要性から、一般社員と比較して相応の待遇がなされる必要があるといえます。特に、「スタッフ職」と呼ばれる総務、人事、企画、財務部門において経営者と一体になって判断を行うような専門職においては、他部門の管理監督者と同等の地位や給与などの待遇がなされていることが必要です。