ドジャース対パドレス　優勝シリーズ進出を決め、ガッツポーズを見せるドジャース大谷（中央）。左端は山本（撮影・菅敏）

＜ナ・リーグ地区シリーズ:ドジャース2－0パドレス＞◇第5戦◇11日（日本時間12日）◇ドジャースタジアム 【動画】大谷翔平、喜び爆発！　叫びながら山本由伸にシャンパンシャワー！ 　【ロサンゼルス（米カリフォルニア州）11日（日本時間12日）＝斎藤庸裕、四竈衛】ドジャース大谷翔平投手（30）が、悲願のワールドシリーズ制覇に前進した。2勝2敗で迎えた地区シリーズ第5戦に「1番DH」で出場。4打数無安打も、窮地で発した言葉の数々が現実となった。励まし続けた先発の山本由伸投手（26）は5回2安打無失点と力投。今シリーズ盤石の救援陣でパドレス打線を封じ、突破を決めた。パ軍の先発ダルビッシュ有投手（38）は7回途中3安打2失点と力投したが、打線の援護なく、チームは敗退した。 　　　　◇　　　◇　　　◇ 　大谷は真っ先に三塁側ベンチを飛び出した。勝った瞬間に両拳を握り、叫んだ。試合を締めた右腕トライネンのもとへ走り、抱き合い、歓喜の輪の中心で目いっぱい喜んだ。地区優勝を決めた9月26日以来、2度目のシャンパンファイト。TV局のインタビューで、興奮気味に言った。 　大谷　誰が（塁に）出ても本当に一生懸命、チームプレーで後ろにつなぐんだっていう気持ちが前面に出ていたと思いますし、ロースコア（僅差）でしたけど、なんとかみんなでものにした、そういうシリーズだったと思います。 　全員野球で同地区ライバルとの決戦を制した。導いたのは大谷の「言葉力」だった。1勝2敗で王手をかけられた第3戦後、「後がないって感覚自体が僕にはない。2連勝すればいい」と言った。大一番を迎える第5戦の前日会見では「全員でつかみとった（第4戦の）勝利だと思うので、それを明日もできれば、必ず勝てる」と胸を張った。自身は無安打でも、E・ヘルナンデスの先制弾に叫び、ベンチから出て前線で祝福。節目に見せる感情表現は、チームの一体感を生んだ。 　前向きな言葉を、一貫して発し続けた。大舞台のマウンドに上がる山本に対しても度々、激励。第1戦の前日、記者会見で「信頼を得ている証拠。自信を持っていい」と、力強く背中を押した。結果的に打たれたが「しっかり切り替えて、次は素晴らしいピッチングができる」と見込んだ。昨年のWBCでともに世界一を勝ち取った仲間。昨オフ、ド軍との入団交渉で、ワールドシリーズ制覇へ必要なピースとして共闘を呼びかけた。能力を信じ、励まし続けた後輩が、シリーズ突破への原動力となった。 　だからこそ、喜びもひとしおだ。シャンパンファイトでは、インタビュー中の山本に満面の笑みで思いっきりビールをかけた。「圧倒して相手を寄せ付けないような、本当に圧倒的なピッチングだったなと思います」。先発の山本から4投手でつなぎ、2試合連続でパ軍打線を無失点に封じた。大谷が無安打でも役者がそろい、勝ちきれるのがド軍の強みだ。目指す世界一まであと8勝。前を向き続ける大谷の存在が、頂点への道しるべとなる。