【ヤクルト】長岡秀樹が“変身”を遂げた要因 コーチと明確にした「答え」の先に初タイトル奪取も
低迷するチームの中で、今季大きな成長を遂げた。ヤクルトの長岡秀樹は8月、月間打率「.384」というハイアベレージを残し、8月9日のDeNA戦(横浜)から19試合連続安打という記録も打ち立てた。 【動画】プロ初の1試合2発!長岡秀樹が右翼席へ弾丸ライナーの本塁打 試合前から念入りに準備を始める。一通りの練習を終えると、大松尚逸打撃チーフコーチが横と正面からトスするボールを黙々と打ち込んでいる。22歳の若武者が“変身”を遂げた要因にはこの「ルーティン」があった。 大松コーチは長岡が今年一番成長した点を「広角に打てるようになったところ」と断言する。「去年あれだけ成績が良くなくて、そういう思いをしたくないんだと思う」と、今季は「強引じゃなくなった。失敗を生かしている」と、好調の裏には、昨季打率.227と打撃が低迷してしまった悔しさがあると話す。 今季が始まる前に長岡と面談し、どういう打者になりたいのかというのを2人で話し合った。長岡本人からは「打率を残したい、出塁率を上げたい」という言葉が返ってきた。目指していく“打者像”が明確になったことで、練習にもより集中できる。 右へ引っ張る癖のある長岡は、逆方向へ強い打球を打つ意識づけのために同コーチが発案した前述の「ルーティン」を行って試合に臨む。今季の開幕前から始めたこの練習の中で、スイング軌道の確認やバットのヘッドを利用して打つ確認などを行っている。 シーズンも佳境を迎えた9月。首位打者と最多安打争いが視野に入る。8月に関しては月間「38本」の安打を放ち、すでにキャリアハイの139安打をマーク。高卒5年目で初のタイトル獲得への期待も大きい。 2015年に首位打者と最多安打のタイトルを獲得した川端慎吾は、試合前に長岡と同じ練習を繰り返している。長岡とは「試合の中でどういう球を待ってどういう入り方をするとか、そういう話はよくします」と、2人で実戦での心構えについて話し合うこともある。 「僕も3割いくかいかないかぐらいで最後までいって、シーズン最後1本打てば3割到達するというところまでいった。(長岡も)同じような感じで、何とか3割で終わりたいという感じでやっている。すごく気持ちはわかる。結構大変だと思います」 長岡は一時打率3割に乗せたが、いまは2割9分台。百戦錬磨の巧打者は、自身の経験を重ね合わせながら、奮闘する後輩の姿を見ていた。 ケガ人を多く抱えるチーム事情などもあり、長岡の打順は固定されていないが、夏場以降は1番や2番、3番を務めている。守備面でも遊撃手という重要なポジションを担っており、投手への声掛けも積極的に行う姿がある。 名実ともにチームの顔として、攻守で欠かせない選手となった。導き出した明確な「答え」とともに、背番号「7」は今後も大きな成長曲線を描いていく。 [文:別府勉]