ピクサー新作『インサイド・ヘッド2』は思春期真っ盛り
見事な演技を見せる声優たち
声優に関しても、新キャストは元々のキャストに負けず劣らず素晴らしい演技をしています。悲しみ役のフィリス・スミスや怒り役のルイス・ブラックも素晴らしい仕事をしていますが、アイオウ・エディバリー、アデル・エグザルホプロス、マヤ・ホークは別の次元というほど。元のキャストが標準燃料なら、新キャストはジェット燃料くらい飛び抜けています。 アイオウ・エディバリーは情熱にあふれ、アデル・エグザルホプロスはおもしろいほどの無関心を演じ、マヤ・ホークの極度の不安げな演技は、聞くだけで健康によくないような気持ちになってきます。対してエイミー・ポーラーの喜びは、今回彼女自身も成長を遂げているように感じました。 作品中、多くのおもしろいジョーク、成長の過程でのぎこちない場面、多くの驚きがあり、最終的に思春期の女の子の心の中を覗けたらこういう物語になるのかもしれないという実感さえ得られました。
マイナスポイントもあり
『インサイド・ヘッド2』の欠点はというと、始まり方が強力で終わり方も本当にパワフルなので、その間が少し繰り返しのような感じになっていたことです。新しいキャラクターはみんなで行動を共にし、元のキャラクターも基本的に一緒にいるので、互いに行ったり来たりが続き、キャラクターそれぞれが輝く場面が少なくなってしまっていました。 また、主人公ライリーの判断は論理的ではあるものの、もちろんよくない選択をすることもあります。しかし、そのすべてが素晴らしい終わり方に結びつくため、選択の過程は最終的にはよかったなぁと落ち着きました。 ということで、『インサイド・ヘッド2』は観る価値のある作品だと思います。ピクサーの歴代の続編作品の中で最高とまでは言えないかもしれませんし、前作を上回っているとも言えませんが、それでもエンターテインメント性、感動、そして印象に残る要素はしっかりと備えた作品となっています。ピクサーが自身の得意分野を遺憾なく発揮した作品と言えるでしょう。 ケルシー・マン監督、メグ・ルフェーヴとデイヴ・ホルスタイン脚本による『インサイド・ヘッド2』、全米では、6月14日に公開されていますが、日本公開は8月1日からです。
岩田リョウコ