5年ぶりに復活した西野カナが臨む紅白の舞台。活動休止前に語った「暮らしのBGMになりたい」の夢を遂げるまで
5年間の活動休止期間を経て、今年、西野カナが活動再開をはたした。すでにEPのリリース、ライブの開催と精力的に見える彼女だが、18歳でメジャーデビューした彼女のキャリアはどのようなものだったのか。同世代に寄り添い、LOVEを歌い続けてきた、その魅力を深掘りする。 【画像】西野カナが、金髪ロングのギャル大学生だった頃
「会いたくて 会いたくて」から「Darling」への変容
西野家の皆さま、5年ぶりの活動再開、そしてNHK紅白歌合戦への出場、うれしいですね。おめでとうございます。いちファンとして、ありがとうございます。 平成元年(1989年)に生まれ、18歳の時にメジャーデビュー、11年間で34枚のシングル、7枚のアルバムを発表し、平成が終わった年(2019年)に活動を休止。休止期間中に結婚と出産を報告、2024年6月に活動再開を発表。再開後すぐにEP盤をリリース、11月には横浜アリーナでライブを開催。大晦日には、NHK紅白歌合戦へ出場(6年ぶり10回目)することが決定。 西野カナのことである。 さて、まずは西野カナの基本的な変遷を。世間的に大きな注目を集めたのは、サビのフレーズ〈会いたくて震える〉で一世を風靡した名曲「会いたくて 会いたくて」だろう。 デビューから2年後、10枚目のシングルである。この時期のカナは、金髪の巻き髪ロングにファーなどのギャルファッションに身を包む大学生。 公式ブログ「君に会いたくなるから」では、歌手としての活動だけでなく、たびたび「テスト終わったー!!」など学業の報告エントリーも書いている。 その後、2012年の「GO FOR IT!!」や2013年の「Believe」といったストリート路線のダンスチューンを経て、大きな転換点となったのが、2014年の「Darling」である。 ねぇ Darling 脱ぎっぱなし靴下も裏返しで もー、誰が片づけるの? 「Darling」より これまで恋に恋する曲を歌い続けていたのに、ここへきていきなりの生活感。と同時に、メイクやファッションがギャルではなくコンサバ方向に大きく変わっている。 ファッションビルでいうと、ギャル文化の象徴109から、コンサバティブなルミネへの転身。この時期、カナは渋谷を出て、ターミナル駅へと向かった。 なぜか。カナは常々、マーケティングによって歌詞を書いていることを公言している。周囲にアンケートをとり、より共感の得られるテーマや言葉を選んでいるのだ。さらに、その歌詞に説得力を持たせるため、自身が歌詞の登場人物と同世代であることを貫いている。 1989年生まれの西野カナ世代は、現役なら2012年に大学を卒業、2014年は社会人2年目という時期。109からルミネへと変わっていく必然性がある。(※正確には、西野カナは1989年3月生まれなので、学年でいうと1988年生まれと同学年になる。) そう考えると、2012年~2013年の期間限定のストリート路線は、就活を終え、残りの大学生活を全力で弾けていたタイミングだったとも思える。