舛添都知事の辞任で立ち消えか!? 目玉政策だった“多摩振興”の今
7月1日、東京都は多摩地域の魅力を発信する特設HP「多摩の魅力発信プロジェクト」をリニューアルオープンさせました。「多摩の魅力発信プロジェクト」は、多摩地域の30市町村の魅力を発信することで企業や人を集客するとともに、在住者に生活情報を提供することで暮らしやすさを実感してもらうことが狙いです。 東京都は、23区・多摩地域・島嶼部の3つに区分できますが、多摩地域は23区に比べると都市整備などが立ち遅れてきました。そうした状況を改善しようとしていたのが、舛添要一前都知事です。舛添前知事は、2014年の都知事選立候補時に、公約として「多摩地域の振興」を掲げていました。 1年半で終わってしまった舛添都政の目玉政策だった多摩の振興は、どうなっているのでしょうか?
舛添都政で光が当たった多摩地域振興 副知事がトップに
舛添要一前都知事が6月21日に辞職願を提出し、新しい都知事を選出する選挙が7月14日に告示されます。現在、各政党が候補者を擁立するべく動き、いろいろな人物取り沙汰されています。東京五輪が2020年に迫り、きちんと任期をまっとうすることになれば、次の都知事が準備を仕切ることになります。そのため、東京五輪ばかりに目が行きがちですが、都政の課題は山積みです。 舛添前都知事が目玉にしていた多摩地域の振興も、光が当たりづらい政策のひとつです。それまで多摩振興担当のトップは局長でしたが、舛添都政では副知事をトップに据えて、多摩の振興に力を入れてきました。
格差解消進んだインフラ 依然税収に大きな差
東京都に長年暮らしていると、多摩地域の振興と聞いてもピンときません。なぜ、多摩地域を振興する必要があるのでしょうか? 「高度経済成長が終わった昭和50年代、三多摩は上下水道整備率、道路の舗装率などが明らかに低く、23区と比べると歴然の差がありました。そうした23区と三多摩の格差を解消するべく、行政は積極的に多摩地域のインフラ整備に取り組みました。そうした成果もあって、数字面ではインフラの整備率に差はほとんど見られません」。(東京都総務局行政部多摩振興担当) インフラが整うことで、23区と多摩地域の表向きの格差は解消されています。しかし、多摩地域は23区に比べて大企業が少なく、税収で大きな差があります。これらは、並大抵なことでの解消はできないようです。 「中央線沿線の武蔵野市や立川市は、多くの企業が集まるようになりました。税収も23区と遜色がなくなり、住民サービスも手厚くなっています。ただ、多摩といっても範囲は広く、そのほかの市町村は、依然として厳しい環境にあります。特に、近年は大工場が撤退して、雇用をはじめ税収などにも大きな影響が出ています」。(同)