《性被害裁判 異例の逆転勝訴》わいせつ男性教諭の“嘘”を暴いた「クラスメートの新証言」 性被害から20年
「よく可愛がられているなという印象を持っていました。“究極の腹筋”という名前で石丸くんが両足を両脇に抱えられ、腹筋させられるということをやられていました」
「裁判長から色々言われましたので、これくらいに」
続いて、奥田からの反対尋問に移った。 他人事のような顔をしていた奥田が、立ち上がってようやく柳を直視した。 「色々私の暴力的なことを言われていますけど、それはさておいて……。代理人から控訴人(石丸)についてどういう人物になっているかは聞かされましたか」 意図のはっきりしない問いかけに、柳は困惑の色を浮かべて返した。 「ごめんなさい、よくわからないのでもう一度わかりやすくお願いします」 それに対し奥田は、質問ではなく、石丸の人格や家族関係の批判を滔々と語りだした。 裁判長が制止する。「大きな声を出さないでください」「控訴人の人格がこの事件にどう関係するんですか。彼に聞くことではないと思います」。 奥田は「どうして関係ないのか私にはわからない」と開き直る。 ◆ 本記事の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています(秋山千佳氏の連載「ルポ男児の性被害」第8回・前編 「《異例の逆転勝訴》性被害から20年、クラスメートの新証言がわいせつ男性教諭の数々の“嘘”を暴いた」 )。 ■連載 秋山千佳「ルポ男児の性被害」 第1回・前編 「成長はどうなっているかな」小学校担任教師による継続的わいせつ行為《被害男性が実名告発》 第1回・後編 《わいせつ被害者が実名・顔出し告発》小学校教師は否認も、クラスメートが重要証言「明らかな嘘です」 第2回・前編 中学担任教師からの性暴力 被害者実名・顔出し告発《職員室で涙の訴えも全員無視》 第2回・後編 《実名告発第2弾》中学担任教師から性暴力、34年後の勝訴とその後「ジャニー氏報道に自分を重ねる」 第3回・前編 《実名告発》ジャニー喜多川氏から受けた継続的な性暴力「同世代のJr.は“通過儀礼”と…」 第3回・後編 《抑うつ、性依存、自殺願望も》ジャニー喜多川氏による性暴力 トラウマの現実を元Jr.が実名告発 第4回・前編 「なぜ今さら言い出すのか」性被害を訴えた元ジャニーズJr.二本樹顕理さん 誹謗中傷に答える 第4回・後編 「ジャニーさんが合鍵を?」元Jr.二本樹顕理さんを襲った卑劣な“フェイクニュース” 第5回・前編 「性暴力がなければ障害者にならなかった」41歳男性が告発 小学3年の夏休みに近所の公衆トイレで… 第5回・後編 《母は髪がどんどん抜け、妹からは「キモい」と…》性被害後の家族の“拒否反応”の真実 41歳男性が告白 第6回・前編 目の前で弟に性虐待を行う父親 「ほら見ろよ」横で母親は笑っていた《姉が覚悟の実名告発》 第6回・後編 「絶対に外で言うなよ」父親の日常的暴力と性虐待の末に29歳で弟は自殺した《姉が実名告発》 第7回・前編 NHK朝ドラ主演女優・藤田三保子氏が“性虐待の元凶”を実名告発「よく死ななかったと思うほどの地獄」 第7回・後編 「昔、兄にいたずらされたことが」塚原たえさんの叔母、藤田三保子氏が“虐待の連鎖”を実名告発 第8回・前編 「《異例の逆転勝訴》性被害から20年、クラスメートの新証言がわいせつ男性教諭の数々の“嘘”を暴いた」 第8回・後編 「《賠償金約4000万円》法廷でも被害者の人格を攻撃 わいせつ男性教諭に画期的判決が下った“3つの理由”」
秋山 千佳/文藝春秋 電子版オリジナル