【親の相続問題】親が亡くなったら、まず何をすべき?
「親の相続」は経験者であっても、法律は年々改正されているので、この機会に情報のアップデートを。親が亡くなったあとする手続きや相続人について、相続専門の公認会計士・税理士の石倉英樹さんがレクチャー。 50代のお悩み「老いた親の心配」
親が亡くなったら、まず何をすべき? ≫≫ 親が住んでいた自治体の役所などに「死亡届」などの届け出を
死亡の事実を知った日から7日以内に、親の死亡地か本籍地、届出人が住む自治体に「死亡届」と「火葬許可申請書」を、14日以内に親の居住地の自治体に「世帯主変更届」などを提出。「相続手続きには、故人の戸籍謄本(’24年3月から本籍地以外の自治体でも取り寄せ可に)と住民票の除票、相続人全員の現在の戸籍謄本と住民票、印鑑登録証明書などが必要。これらの役所手続きをワンストップで支援してくれる『おくやみコーナー』が最寄りの自治体にあれば、利用をおすすめします」(石倉さん、以下同)
相続人って誰? ≫≫ 必ず相続人になるのは「配偶者」
「相続人とは、民法で定められた遺産を相続できる人のことをさし、必ず相続できるのは配偶者。それ以外は、優先順位(下図参照)が決められていて、その順位に沿って、配偶者とともに相続人になります。見ず知らずの異父母きょうだいや、親が認知している子供の存在が戸籍で判明した場合は予想外の相続人が登場することに」。また、複数子供がいて、うちひとりがすでに亡くなっている場合は、その子供の子供(故人にとって孫)が相続人となる。
【相続人の優先順位】
どんなものが遺産の対象に? ≫≫ 現金、預貯金、土地、家屋、自動車、貴金属など、お金に見積もれるものすべて
遺産と見なされるのは、現金、預貯金、株式・投資信託・債券といった有価証券、土地、家屋、自動車、貴金属、生命保険など、お金に換算できるものすべて。「親の財産を記録したものがない場合、預金通帳や証券会社からの取引報告書、保険会社からの生命保険料の控除証明書、固定資産税の納税通知書などの郵便物がヒントに。ただし、ネットバンクといったデジタル遺産は見つけづらいので、親の存命中に財産メモやID・パスワードを教えてもらうのが得策です」
法定相続分とは? ≫≫ 法律で決められている権利で、配偶者と子供が相続人の場合、配偶者が1/2、子供たちが1/2
法定相続分とは、誰がどんな割合で相続するかの目安を法律で定めたもの。配偶者は遺産の1/2、残り1/2を子供たちで等分に、子供がいない場合は配偶者が2/3、残り1/3を親で、などと決められているものの、これはあくまでも権利。遺言書があれば、それに基づいて、なければ、相続人全員で遺産の分け方を話し合って決めてもOK。ただし、相続人全員での話し合い=遺産分割協議は、ひとりでも反対すれば成立せず、遺産を手にすることはできない。「今は将来が見通しづらい時代なので、相続人がそれぞれの法定相続分を主張する傾向にあります。仲がよかった家族でも遺産争いになってしまう可能性があります」。