異次元円安「予想超える変化」、輸出企業も戸惑い-業績プラスも
アンケートでは、円安進行が想定外だったという声も聞かれた。三菱重工業は日銀の政策変更で一時的に円高に動くのではないかと想定していたという。円安は短期的な財務数値にはプラスに働く一方、過度な円安は日本経済の相対的な低下を示すもので必ずしもプラスとは言えないとした。
海外M&Aにも影響
商船三井の橋本剛社長は30日の会見で円安は円換算の利益を押し上げる効果がある一方、過度に円安が進めば海外など成長領域での企業の合併・買収(M&A)がやりにくくなり、「ほどほどの円高への回帰」が望ましい面があると語った。
三菱商事の中西勝也社長も2日の決算会見で、海外でのM&Aの際に円安は「ボディーブロー」のように効くとコメント。為替要因だけで急に10-20%値上がりすることもあり、「投資を行う上で慎重にさせてしまうところがある」という。円安は国力が弱まることにつながる側面もあり、「われわれにとっては利益にプラスになるが、よろしくない」と述べた。
丸紅の柿木真澄社長は現在の円安は投機的な側面もあり、長続きしないのではないかとの考えを示した。その一方で、人口減少や将来を支える新産業が育たないなど日本が抱える問題を反映して通貨の価値が下がっている可能性もあり、懸念していると述べた。
「世界の中での日本で、円安になることになることを喜ぶ人はおかしいんじゃないかと思うし、そうあってはならないと考えている」。4月の都内での決算会見でこう話したのはファーストリテイリングの柳井正会長兼社長だ。
8月期決算の同社は2月末の為替レートが期首より円安方向に振れたことで上期に為替差益165億円を得るなどメリットも享受しているが、柳井氏は円安は「当社に対してだけでなしに、日本にとっていいわけないというのが基本的な考え方」だと述べた。
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--取材協力:Supriya Singh.
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Tsuyoshi Inajima, Yuki Furukawa, Akemi Terukina, Shoko Oda