異次元円安「予想超える変化」、輸出企業も戸惑い-業績プラスも
同社の斎藤祐二副社長兼グループ最高財務責任者(CFO)は2日の決算会見で今の円安ではどんな対策を取っても海外旅行の回復は望めないとし、現在の円安水準がもう少し是正されるとありがたいと述べた。
決算シーズンに合わせてブルームバーグが国内主要企業を対象に実施したアンケートでは、輸出型企業からも現在の円安への懸念の声が聞かれた。
海外売上比率が90%を超える村田製作所は、同社にとって円安は「短期的な収益面ではプラス効果」があるとしながらも、過度な円安進行はサプライチェーン(供給網)全体に影響する懸念があると考えており、急激な円安の進行は望んでいないとした。
連結売上高の75%近くをインドなどの海外で稼ぐスズキは150円を上回る円安水準は経営にプラスとしたものの、経営において望ましい為替レートとは言いづらくなる水準として155円超と回答。TDKは同じ質問に160円超と答えた。
リスクヘッジ
急激な為替変動のリスクを最小限に抑えるための取り組みも進められている。
資生堂は為替変動に対するリスクヘッジの比率については相場を見ながら調整して変動に備えているとした上で、「直近の円安相場では標準よりはヘッジ比率を増やすことで対応」しているとした。
JTは短期的には外貨建ての債権や債務については原則100%ヘッジし、将来キャッシュフローについても25-90%のレンジでヘッジしているという。また、現地通貨での原材料調達や現地製造などを行い、収入通貨と支払通貨を合致させて相殺させることを企図した「ナチュラルヘッジ」も進めている。
キヤノンは海外グループ会社からの外貨建て借入金について、円安によって生じた為替差損を「営業外費用」として計上しており、昨年はその影響が大きくなったが、1年間かけて外貨建て債務の削減に努めた結果、今期(2024年12月期)は改善したという。
中国電力は、従来から為替予約取引を使っているが、変動リスクの影響を抑制するため、取引期間を長く確保し分散取引を図るほか、リスクポジションの定期的な見直しを行うことで、適正なヘッジ量となるよう調整しているという。