憧れのトスカーナ地方。でも80年代、庶民は墓泥棒で生計を立てていた!? 笑いと愛と幻想が入り交じるイタリアの俊英女性監督作【墓泥棒と失われた女神】
えいがの絵日記 その24
イラストレーターのともゑさんが、心に響いた映画をイラスト絵日記にするシリーズ。今回は、古代文明の墳墓を盗掘する人々の貧しくもにぎやかな暮らしと、永遠の愛をからめた個性的な映画! 【画像】『墓泥棒と失われた女神』えいがの絵日記はこちら
個性豊かでにぎやかな面々
紀元前ニ繁栄シタ古代エトルリア人ガ…ご安心を、そんな堅い映画じゃありません。イタリア、トスカーナ地方の田舎町には、その当時の墓があちこちに埋まっていて、1980年代、墓泥棒たちがそこから掘り出した埋葬品で日銭を稼いでいました。一見ただの地面→掘ると墓、をなぜか発見できる男アーサーが主人公。“幻想を追い求める男”でもあるのですが、はて?それは一体…
詐欺師VS泥棒のコメディ展開
発見された稀少な女神像をめぐって…なにしろわれちゃってるんで…胴体チームvs頭部チームもめてます。そんな中アーサーだけが…これは人の目を満たすためのものじゃない…そうやさしく呟いた後…驚きの行動に!
アーサー役は前回『チャレンジャーズ』も主演のジョシュ・オコナー
ふいにアーサーの足元に赤い糸が…つかもうとするけど…逃げていく…ちらっと女の人恋人の幻影も…それを追いつつ現実世界の女性ともふれあうアーサー。急きょ青空の下でセルフ散髪 これはその娘さんから「ママに会うならきれいにして」と命ぜられ。強面の彼が素直に従ってます。
原題『La Chimera』は、幻獣、幻影の意味
「お客さん、夢でも見てました?」やっと起きたアーサーに声をかける陽気な車掌さん…のどかな列車内。キラキラした観光地とはちがうイタリア・トスカーナの普段の生活、賑やかだけどどこか物悲しい空気がたまらない…と酔いしれてたらときおり「あれ、ここ異世界?」なんて場面も。そのときの戸惑いと快感…また味わいたいです。
『墓泥棒と失われた女神』(2023) La Chimera 上映時間:2時間11分 イタリア・フランス・スイス
監督・脚本:アリーチェ・ロルヴァケル 出演:ジョシュ・オコナー、イザベラ・ロッセリーニ 他 1980年代のイタリア、トスカーナ。先史時代のエトルリア文明の墓をあばいて、副葬品を売りさばく一団がいた。彼らの頼りは、英語圏から来た外国人アーサー(オコナー)。失った恋人への思慕でいつも夢うつつなアーサーだが、お宝を探し当てるダウジングの腕は確かで…。 各界が注目するイタリアのアリーチェ・ロルバケル監督(『幸福なラザロ』2019)最新作(兼脚本)。のどかでコミカルな田舎の描写に混じる、幻想的なアーサーの恋慕がせつない。恋人の老母役で、72歳になったイザベラ・ロッセリーニ(『ブルーベルベット』1987)が出演。
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