救急回線を消防に無断で遮断…PHSの電源を切った医師「電話対応にストレス」
鳥取県立中央病院(鳥取市)の救命救急センターが9月、救急患者への医療行為を消防隊員に指示するため、同県東部消防局(同)と結んでいるホットラインの一部の電源を消防に無断で切っていたことがわかった。男性医師(55)が「電話対応にストレスを感じる」と申し出たという。
同病院は、県東部で唯一の3次救急医療機関。県東部消防局とは、消防隊員が搬送中の患者に薬剤を投与するなどの医療行為をする際、必要な指示を医師から受けるためのホットライン3回線を結んでおり、医師のPHS2機と主に看護師が受ける固定電話がある。
消防によると、9月11日夜に2機のPHSにかけてもつながらなくなった。消防側が12日午前、同病院に連絡し、同日午後、広岡保明院長が消防に固定電話にかけるよう依頼した。11日夜~12日午前に消防がかけたのは9件で、同病院の代表電話にかけて医師への転送を依頼したこともあったという。
同病院は18日昼、原則として固定電話で受けるという運用変更を消防に伝えた上で、PHSの電源を戻した。県病院局は、対応の遅れで患者の容体が悪化したケースはないとしている。
広岡院長によると、男性医師から11日に「電話対応のストレスを軽減したい。固定電話での運用にしてほしい」と相談があり、この医師がPHSの電源を切った。センター内では電源を切ることは周知されていたという。
広岡院長は「固定電話では対応しており、PHSの電源を切ったことは問題だとは認識していない」としつつ、「固定電話で対応するなら事前に消防に連絡すべきだった。反省している」と述べた。
男性医師は、消防に対し、必要な医療行為の指示を出すことを拒否するメールを送り、現場活動を混乱させたなどとして、今年2月に同病院のセンター長を解任され、県病院局から8月9日に戒告処分を受けていた。県東部消防局は「病院との関係改善に努めてきた中で、誠に遺憾だ」としている。