『CDTV』は2時間レギュラー、各局新番組も続々……テレビがいま音楽番組に注力する理由
2024年4月、新年度のテレビ各局の番組改編は、音楽番組に“春の訪れ”を予感させるラインナップとなった。長年、ゴールデンタイムでのレギュラー音楽番組が存在しなかった日本テレビは、『世界一受けたい授業』の後枠の土曜19時56分~20時54分に、『news zero』を卒業した有働由美子をMC、松下洸平をアーティストナビゲーターに迎えて『with MUSIC』をスタートさせる。一方、月曜夜の音楽番組として定着してきているTBS『CDTVライブ!ライブ!』は、2時間レギュラー編成(毎週月曜19時~20時57分)となる。フジテレビでも昨秋始まった『週刊ナイナイミュージック』(毎週水曜23時~23時40分)に加え、木曜日に、さまぁ~ずがMCを務め、特番としてオンエアされて好評を博していた『ミュージックジェネレーション』もレギュラー番組としてゴールデンタイムに進出(毎週木曜19時)と、まさに百花繚乱な様相を呈している。そんな今、改めて音楽番組の栄枯盛衰の歴史を振り返ってみたい。 【写真】『tiny desk concerts』日本版に出演した藤井 風
テレビがヒットを牽引し、シーンを作っていた音楽番組全盛期
このような活況の原点はTBSが『ザ・ベストテン』(毎週木曜21時)を始めた1978年あたりだろう。当時、すでに先行してスタートしていたフジテレビ『夜のヒットスタジオ』(毎週月曜22時/後に『夜のヒットスタジオDELUXE』、『夜のヒットスタジオSUPER』となり、毎週水曜21時、22時に移動)と日本テレビ『NTV紅白歌のベストテン』(後の『ザ・トップテン』毎週月曜20時)との三つ巴の時代があり、各番組が競い合い、そこで紹介される曲が次々とヒットを放つという好循環が生まれていた。まさにテレビがヒットを牽引し、シーンを作っていく、そんな音楽番組全盛の時代がそこに確実に存在していた。今回の改編はその時代の再来を期待して良いのだろうか。 そして、次のフェーズともいえる時代は、1986年にスタートしたテレビ朝日の生放送番組『ミュージックステーション』(毎週金曜20時、2019年10月より21時)が不動の王座となって牽引した=CDが最も売れた時期である。その時期は、バラエティ全盛の時代でもあり、バラエティと音楽番組との幸福な出会いがあり、人気芸人やバラエティタレントが出演歌手の人となりをトークで盛り上げるスタイルがお茶の間を彩った。1994年にスタートした、ダウンタウンが司会のフジテレビ『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』(毎週月曜20時)や1996年にスタートした、とんねるず 石橋貴明とSMAP 中居正広によるTBS『うたばん』(毎週木曜21時)の時代があった。そこでは、歌唱力やパフォーマンスだけでなく、そのアーティストのキャラクターがテレビ発のブレイクを目指すには重要な要素となった。またその同時期に日本テレビは『速報!歌の大辞テン!!』や(毎週水曜20時)や『THE夜もヒッパレ』(毎週土曜22時)で独自の切り口で音楽番組を制作しており、ここでも、各局の競い合いが繰り広げられ、番組きっかけでさらなるブレイクを果たすアーティストやタレントを輩出する源泉となっていたのである。