<こどもの日>学力向上にも必要な「貧困対策」 学校の役割に期待する声
5月5日は、こどもの日。「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」(祝日法)日ですが、近年その子どもの幸福が危ぶまれています。貧困家庭に育つ子どもの増加です。昨年6月には議員立法で「子どもの貧困対策法」が成立し、政府は「子どもの貧困対策に関する大綱」を今年7月に策定すべく検討を始めました。
貧困率は先進国でも下位
社会の貧困状況を測る指標として「相対的貧困率」があります。世帯の可処分所得(収入から直接税・社会保険料を除外)を低い順に並べたとき、その中央値の半分を下回る所得しか得ていない人の割合のことです。2010年の相対的貧困率は全体で16.0%、17歳以下の子どもでは15.7%(厚生労働省推計)と1997年以来最高を更新しています。子どもの6~7人に1人が貧困状態にある、というわけです。 とりわけ深刻なのが一人親世帯(大人が1人)の子どもで、改善傾向にあるとはいえ50.8%と2人に1人を占めています。国際的に見ても経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国中25位、一人親世帯では33位と統計のある国で最下位になっています。
学力格差で懸念される「貧困の連鎖」
生活保護世帯などを対象とした「就学援助」を受ける児童・生徒も、1995年度は6%に過ぎませんでしたが、12年度は15.6%に。1クラス40人のうち6人が受給している計算です。道中隆関西国際大学教授の調査(2008年)によると、生活保護世帯の4分の1が子ども時代にも生活保護を受けており、「貧困の連鎖」が懸念されています。家庭の状況が子どもの進学のみならず、学力も大きく左右することが分かってきているからです。 文部科学省は先ごろ、2013年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の分析調査結果を発表しました。家庭所得と両親の学歴を加味した「社会経済的背景」(SES)という指標で比較すると、SESが高いほど学力が高くなることが明らかになりました。 学力を上げるには家庭での勉強時間を長くするのが有効なのですが、それでも平均でSESの高い世帯の子どもにはかなわず「学習時間の効果は限定的と言わざるを得ない」(分析を担当した耳塚寛明同大副学長)のが現状です。一方で、SESの低い子どもを多く抱える学校でも学力の底上げに成功している学校があることが、調査から分かっています。