2位に入った全米女子オープン以来、好調を維持する渋野日向子（写真はマイヤーLPGAクラシック最終日） photograph by Shizuka Minami

　渋野日向子は、先週のマイヤーLPGAクラシックで通算5アンダーの41位タイに終わった。ただ、これで3週連続の予選通過。単独2位で終えた全米女子オープン以降、それまでの低空飛行が嘘だったかのように結果が出続けている。 【画像】「え、神対応すぎ…」渋野スマイル復活“ピリピリ緊迫メジャー大会”でも爆笑＆現地の子どもにサインする「やっぱりニコニコ渋野がイイ！」もう5年前…大観衆の追われまくる“しぶこブーム”「石川遼＆上田桃子らと…」 　なによりも、渋野自身が復調を実感していることが大きい。マイヤーLPGAクラシックの2日目を10位タイでホールアウトした後にこう明かしている。 「(スコアを)伸ばしたい、伸ばそうみたいな。マインドも全然違うし、(ショットの)不安要素も少なくなってきてるし。昨日も(ショットは)あんまり良くはなかったけど、そんなにね、めちゃくちゃ悪いとは思ってないし。前に比べてね」 　少し前なら予選通過できるかどうか、カットラインを気にしながら守りのプレーをしていた。それが、今はトップとの差を意識している。たとえ、ミスショットが出ても慌てない自分がいる。 「自分のタイミングとかリズムの問題だなっていうのが自分で理解できてるから、あんまり引きずることなく(次のプレーが)できているのかなって思います」

クラブを変えて臨んだ全米女子オープン

　冷静さを保てるのは、全米女子オープンから新調したクラブやシャフトの感触に手応えを感じていることが大きい。「打ってみないとどこに飛ぶのか分からない」という不安は消え、イメージ通りのショットを打てるようになった。 　クラブを変える前は満足いくショットが打てていたのかと問えば、「うーん」と数秒考えながらも「ない」と言いきるほど。確かに練習場ではショットを打っては考え込んだり、天を仰いだりと悩む様子が見受けられた。そこには本人しか理解できない深い苦しみがあったのだろう。 　ただ、同じ黄金世代の一人で、昨季から米ツアーに参戦した勝みなみは渋野に対してこんな印象を抱いていた。 「確かに結果が出なくて苦しんでいましたが、(5月上旬の)ファウンダーズカップの時に練習日と予選ラウンドで一緒に回ったんですけど、(ゴルフ自体は)良かったんですよね。お互いに2日目に崩れちゃって予選落ちしてしまいましたが……でも、すごい良かったんです」(勝) 　勝の意見に口を揃えるのはWOWOWの中継レポーターとして、渋野が米ツアーに参戦した2020年から取材を続ける片平光紀だ。ここ数年、渋野が取り組んできたスイングのトップの位置を高くするといったスイング変更にも成果を感じており、「もともとそんなに悪くなかったんです」と語る。 「(開幕戦から全米女子オープンまでは)スコアがついてきてないだけで。今季は“思いっきり振る”という言葉をよくインタビュー中に発していて、実際にトーナメントではしっかり振れている。なにか“きっかけ”があれば、スコアが出そうな雰囲気はあるなっていうのを感じていました」 　きっかけを掴んだのが、クラブを変えて臨んだ全米女子オープンだった。