松村北斗×上白石萌音W主演映画『夜明けのすべて』。三宅 唱監督が明かす撮影秘話
人気作家・瀬尾まいこの同名小説を、松村北斗と上白石萌音のW主演で映画化。月に一度、PMS(月経前症候群)でイライラが抑えられなくなる藤沢さん(上白石)とパニック障害を抱えている山添くん(松村)が、いつしか同志のような特別な関係になり、互いに助け合いながら希望を見出していく物語。三宅 唱監督に、本作に込めたメッセージやキャストの魅力を教えてもらいました。
生きづらさを抱えながら社会生活を送る二人の奮闘を描く、心温かな物語
ーー本作の主人公は、周囲に理解されにくい悩みを抱え、生きづらさを感じている2人。監督が思う原作の魅力や映画の見どころは? 原作は瀬尾まいこさんの同名小説。プロデューサーから「読んでみてほしい」とお声掛けいただき手に取ったところ 、主人公の藤沢さんと山添くんの2人がとても魅力的で。それぞれがPMSとパニック障害というどうにもならない悩みを抱えながらも、相手の症状は改善できるんじゃないかと、いろんなことを試したり行動をしていく。しかもその行動が、別に正解というわけでもないあたりがとってもチャーミングなんですよね。僕自身、この個性あふれる2人の物語に出会えて良かったと感じましたし、映画化することで、より多くの人にとって2人が大切な存在になるのではと思いました。 映画は、原作にはないオリジナル要素もあるのですが、瀬尾先生も快く受け止めてくださいました。小説と映画の違いもあわせて楽しんでいただけたらうれしいです。2人が働く “栗田科学”という会社は社長も社員も温かくて、生きづらさを感じる2人が周りの人に支えられ、誰かと共に過ごすことで人生を前向きに生きる物語になっています。観てくださる方にも、“栗田科学”の社員になったかのような気持ちで2人を見守ってほしいですね。一緒に時間を過ごすような感覚で見ていただければ、自然にいろんなことが心に入ってくると思います。 ーーW主演の松村北斗くんと上白石萌音さん。一緒に仕事をして感じた2人の印象や役者としての魅力を教えてください。 松村さんはとても好青年で、役のために資料を読んだり丁寧に準備をしていて、俳優としてきわめて誠実な方。そして演じる山添くんも好青年ですが、同時に、どこか変わっている。同じように松村さん自身もいい意味でちゃんと変わったところがあるんですよね。一度、撮影中にどうしても晴れた空で撮りたいシーンがあったのですが、撮るときに曇ってしまって。僕がすねていたら、松村さんが雲に向かって手を合わせて“どいてくれ”というようなオリジナルの祈祷をしてくれたんです(笑)。その特別な舞いのおかげか翌日見事に晴れて、無事に撮影することができました。そういうステキな部分が彼の愛せる魅力だし、山添くんのようでもあるなと感じましたね。 また、藤沢さん役の上白石さんは、幅広い分野で活躍されていて武道館に立つような方でもあるのに、この作品では線路脇で歩きながらみかんを食べていて、それがまた似合っている。藤沢さんは見る人が自分や身近な人を重ねることもできるような等身大の人物ですが、上白石さんもやはり親しみを感じさせる方。土砂降りの雨の中で倒れ込むシーンでは、「めっちゃ楽しい!」と言っていて。非日常を体験できる仕事を楽しむ術を十分に知っているという点でも最高な方だなと思いました。