プロに教えてもらう器使いの極意と御用達ショップ【料理人、丸山智博さん】
盛り付けのセンスが光る食のプロに、器使いの極意や御用達の器ショップを教えてもらう連載「あのひとの器ライフ」。第3回目は料理人の丸山智博さん。空間づくりのヒントにもなる、おしゃれな器使いをチェック。『エル・グルメ』No.29号掲載。
‟アートピース的な器を自由に組み合わせて”
今やレストランで使用する器は、業務用の量産品から、作家ものへ。高級店ばかりでなく、カジュアルな店まで。そんな流れを牽引してきた料理人の一人が丸山智博さん。7年前からはレストランに併設のギャラリーショップを営むギャラリストでもある。自宅のプライベートコレクションも、並々ならぬもの。 「レストランの器はある程度の統一感や耐久性は必須。逆に自宅では、1セットしかないものでも気分に合わせて組み合わせて遊べる。より繊細なアートピースも日常使いし、いいインスピレーション源にしています」 二人がけのテーブルが置ける広さのバルコニーと、壁一面に造り付けの棚がある今のマンションは、そんな日常に打ってつけなのだとか。例えば、英国式のティータイムを、バルコニーで。銀製のティーポットは英国のアンティーク。ロイヤル コペンハーゲンから日本の作家ものまで織り交ぜて、時代や地域の枠を超え好きなもので構成された卓上の景色を楽しんでいる。棚のガラス扉部分には、お気に入りの器やオブジェを蔵書と並べてディスプレー。本だけより抜け感、広がりが保て、ギャラリー同様、定期的に入れ替えを行い、室内の雰囲気づくりに役立てているそうだ。 「小さな工夫で、室内にくつろげる “景色” を作るのが楽しい。一番の近道は、お盆かな、と最近気づいて」と、丸山さん。漆のお盆に、スピリッツのミニボトルとグラスを載せて、レコードに針を落とせば、自分だけの贅沢なバータイムがスタート。サンドイッチや焼き菓子を木のトレーに直接盛り付け、一緒にマグカップを載せれば、クイックなブランチもカフェ気分に。まずは小さなお盆の中からという発想は、器使い、さらに空間づくりの大きなヒントになる。