【解説】台風10号接近前から影響…なぜ静岡市や焼津市で大雨に?気象用予報士が詳しくお伝え(静岡)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ)
(松浦 悠真 気象予報士) 今回は台風が大きな要因となっているのですけれども、風の吹き方によってかなりピンポイントで大雨となりました。きのう29日の大雨の時の気圧配置なんですけれども、台風10号が九州付近をゆっくりと東へと進んでいるところでした。そして日本の東側には太平洋高気圧が張り出していまして、台風と高気圧の間で南寄りの風が強まりまして、非常に暖かく湿った空気が流れ込んできていました。これによって、県内のどこで大雨が起きてもおかしくないという状態がつくられていたんです。そして、焼津や静岡、こういったところでピンポイントで大雨になった理由なんですが、風の吹き方ですね。南から入ってきた風については全体的に入ってきたのですけれども、静岡県に入ってくるあたりで、別の南東からの風、少し東から入ってくる風が入ってきていました。これで、風向が違う風が入ってきて駿河湾のところでちょうどぶつかり合う形になりましたので、ここの点で、積乱雲が発達し続けたんですね。雨雲自体は、上空の風に流されて陸地の方へどんどん流されていきましたので、新しい雨雲がずっとかかり続けて、ああいう局地的な大雨になりました。その時の雨雲レーダーをみていきますと、だいたいこのあたりに注目してみますと、新しい雨雲が次々と発生して、焼津市や静岡市にかかっていた様子がわかります。 (徳増 ないる キャスター) 風がぶつかる場所によっても、ほかの地域でも同じようなことが起こりうるということなのかと思いますけれども、今夜はどうなりそうでしょうか? (松浦 悠真 気象予報士) 今夜も大気の状態が非常に不安定です。台風10号につきましてはだいぶ勢力を落としています。今後ゆっくりとまた東の方へと進んでいくんですけれども、1日の日曜日の段階では熱帯低気圧に変わる見込みなんです。台風から熱帯低気圧に変わるといいうのは、風速の基準が満たなくなったというだけの話しですので、非常に暖かく湿った空気の流れ込みというのは、南からどんどん続いていくということになります。特に土曜日と日曜日、かなり危険な条件がそろう可能性があります。大雨のもととなるのは水蒸気なのですが、温かく湿った空気の流れ、赤色が濃いところが水蒸気の量が多いということなんですが、あす土曜日、あさっての日曜日、ともに非常に温かく湿った空気が流れ込む予想になっています。南風が強まっているのですけれども、あさっての日曜日に、遠州灘付近に渦が予想されているんです。これが、台風10号から変わってくる熱帯低気圧でして、かなりこの熱帯低気圧が、今回は県内に近いところまで進んでくる予想になってきました。そうしますと、上空の風は強くなってきますので、これまでの一連の大雨のなかでも特に危険な気象状況になってくる可能性もでてきているんですね。 そして、今後の雨の予想をみていきますと、まず、今夜も、現在小康状態というところも少し多くなってきているんですが、今夜これから、また、雨雲が発達してきます。そのあと、あす土曜日のお昼ごろからは、かなり活発な雨雲がかかりまして、そして停滞する恐れがあります。そういった状況が、熱帯低気圧の接近に伴いまして、あさって日曜日の日中ぐらいまで、ずっと続く可能性があるんですね。活発な雨雲が停滞するとなると線状降水帯の発生につながるということも考えられまして、予想されている雨量もまだかなり多いんです。夕方までが300ミリ、9月1日の夕方までも300ミリということで、線状降水帯が発生しますと、予想されている雨量をさらに超えてくる可能性もありますので、まだ大雨は終わっていないということは確かに言えるかと思います。