制作スタッフが“虜”になったディズニー映画『ミリオンダラー・アーム』
ディズニー映画と言えば、250億円を超える歴史的大ヒットを記録した『アナと雪の女王』など、名作アニメーションの印象が強い。しかし、実はこれまでには多くの実写作品でヒューマンドラマを描き、多くの観客からの支持を得ている。最近では映画「メリー・ポピンズ」の誕生秘話を描いた『ウォルト・ディズニーの約束』が公開され、話題となっている。また、先日、急逝したロビン・ウィリアムズの代表作『いまを生きる』もディズニーが世に送り出した名作の一つだ。そして、そのディズニーが描くヒューマンドラマの最新作、映画『ミリオンダラー・アーム』がいよいよ今週末、公開となる。この作品は“野球不毛の地”インドからメジャーリーガー発掘を目指すしたスポーツ・エージェントの途方もない挑戦を描いた実話をもとにした感動作だ。 ディズニー映画『ミリオンダラー・アーム』予告編
■J.B.バーンスタイン本人が持ち込んだ企画が映画化 バーンスタインは、この自身のストーリーがいい映画になる自信があり、そのアイディアをプロデューサーのマーク・シアーディとゴードン・グレイに提案している。野球そのものよりも、JBとインドの青年(リンクとディネッシュ)の特別な絆に重きを置かれていることに、プロデューサーのシアーディとグレイは魅力を感じたという。「彼がインドに行く直前に、スーパーボウルのパーティで会っていますが、そのとき彼がインドでリアリティ・ショーを作るんだと言っていたことを覚えています」(シアーディ)と振り返る。「クレイジーだと思いましたが、2年後、彼は2人の(インドの)若者と契約を結び、このストーリーを持って私たちのところにやってきたのです。その物語は魅力のある温かいもので、私たちの心に響きました」とバーンスタインが自信を持っていた通り、プロデューサーの心に響いたという。 ■観客に“希望”を与える魅力的なストーリー 『アリス・イン・ワンダーランド』(2010年公開)や『マレフィセント』(2014年公開)に携わってきた製作のジョー・ロスは、「野球を見たこともなく、野球のグラブをつけたこともない若者たちがインドの農村からやってくるという内容、そんな彼らがアメリカにやって来て成功をおさめるというアイデアは魅力的でした。それと同時に、バーンスタインの物語としても興味深さがあります。『いつだって人は変われるのだ』、『なんだって可能なのだ』というテーマは私が一番好きなテーマです。それはアメリカン・ドリームではなく、ある意味、“ワールド・ドリーム”なのです」と、本作について惚れ込んでいる。 ■『カールじいさんの空飛ぶ家』の脚本家も絶賛 『カールじいさんの空飛ぶ家』の脚本家、トム・マッカーシーはバーンスタインの驚異的な心の旅を真に理解するため、バーンスタイン本人と会っただけでなく、インドで彼がたどった道を追体験している。「インドに2週間彼(マッカーシー)を送りこむと、情報の宝をたずさえて戻ってきました」(前出・シアーディ)。「見事にJBの体験を体感し、ある意味、JBになっていましたね。トムは実在する人々の癖や性格をすべて利用して脚本に注ぎ込んでいます」(ギレスピー監督)と、本作を完成させる上で、大きな役割をマッカーシーは担った。 マッカーシーは、大きな意味で、実在する人々や本当にあった出来事を尊重しながらも、実話をより劇的な形で、『ミリオンダラー・アーム』を描いている。「トム(マッカーシー)のユーモアは、実にリアルで自然なところから発している。例えば、リンクとディネッシュがエレベーターに戸惑うシーンは、(先進国の人たちにすると)クレイジーに見えるかもしれませんが、実際に最初にエレベーターに初めて遭遇して当惑している本人のビデオが残っています。私の狙いは、彼らの驚嘆や心情を温かい目でとらえながら、その瞬間にユーモアを宿らせるというものです。そうすることで可笑しくも親近感を持てる場面が出来上がるのです」とギレスピー監督は、説明する。 バーンスタイン自身が自信をもって持ち込み、スタッフ陣が惚れ込んだ『ミリオンダラー・アーム』。ディズニーのもう1つの顔、ヒューマンドラマはどのように仕上がったんか、いよいよ今週末、公開される。 『ミリオンダラー・アーム』 10月4日(土)全国公開 (C) 2014 Disney Enterprise, Inc. All Rights Reserved.