大橋明代監督が語る『まほあく』制作秘話 “ずっと続いていく物語”に込めたこだわり
大橋明代監督が『まほあく』のラストに込めた“原作ファンへの思い”
●最終話のラストに込めた“原作ファンへの思い” ――最終回では大橋監督ご自身が絵コンテと演出を担当されていました。こだわりのポイントをお聞かせください。 大橋:演出までやれたのはこの話だけだったのでとても楽しくやれました。最終回なのでオープニングやエンディングが流れる場所をいつもと変えたんです。特にオープニング曲の「未完成ランデヴー」は「エンドロールはいらないから」というキラーワードがあるので、最後に持ってきたいという思いはずっとありました。このふたりの関係はここで終わらず、これからも続いていくんだと感じてほしくて。 ――第1回の冒頭が観覧車で始まり、最終回のラストが観覧車で終わるのも同じ意図からの演出でしょうか? 大橋:『まほあく』を「ずっと続いていく物語」にするための象徴になるようなものを考えたところ、観覧車を思い付いて。ふたりが出会ったタイミングで動き出すことで恋が始まったサインにもなるし、最終回でもずっと周り続けることで彼らの話が続くというサインにもなるので。 ――やはりそうでしたか。第1回冒頭は、観覧車の円が月に重なるのも印象的でした。 大橋:そのお月様も第1回は大きく欠けていますが、話が進むごとにどんどん満ちていって最終的にはフルムーンになるんです。 ――すごいですね。監督にとって特にお気に入りの描写やシーンは? 大橋:ずっと地続きの話だと感じてほしくて、小物で演出しています。白夜ちゃんがクリスマス当日にミラ君からガーベラをもらっていたので、長持ちするよう切り戻しして部屋に飾っているのをその後の話でも描写したり。ほかにも、部屋にクリスマスのティッシュを飾ってたり人参もリボベジしてたり……白夜のマグカップも小さい時に保育園か何かで作ったやつをずっと使っているんです。そんなふうに小物で生活が続いているのを匂わせています。 ――細かなところまで観直すのが面白そうですね。 大橋:最終回まで見終わった後、第1回から観直していただくと、白夜の感情が豊かになっていることに気付くはずです。というのも、私が音響監督と久々に第1回の音声を聴くタイミングがあったのですが「最初はこんなに感情なかったの!?」と驚いたんですよ。アフレコでは自分達でディレクションしたのに(笑)。もう、「白夜ちゃん成長したね~」という感じになりました。 ――監督の白夜への愛が伝わります。 大橋:とにかく「白夜ちゃんがかわいければそれでいい」くらいの感じで、彼女を娘みたいに思いながら作っていました。最終回まで見てくださったみなさんには感謝するばかりですが、みなさんも折に触れて観返して、白夜ちゃんの成長を感じていただけると嬉しいです。
はるのおと