法大・篠木健太郎が132球完投＆逆転2点三塁打で気迫のヘッドスライディング／東京六大学
東京六大学野球秋季リーグ第2週第3日（23日、立大2ー4法大、神宮）3回戦1試合が行われ、法大が立大に4ー2で逆転勝利。1勝1敗1分で24日の4回戦に持ち込んだ。今秋のドラフト候補に挙げられている最速157キロ右腕、篠木健太郎投手（4年）が132球を投げて5安打2失点7奪三振で完投した。 マウンドでのたたずまいはエースの風格そのものだった。九回2死二塁。左翼手のグラブに打球が収まり、27個目のアウトを見届けるとエースは両手をグッと握り、雄たけびをあげた。 「最初から最後まで行くつもりだった。崖っぷちになってからが本当の勝負。自分が勝負する姿を見せようと思った」 勝ち点を挙げる上では絶対に負けられない一戦に中1日で先発した右腕は立ち上がりに1点を失うも、その後は修正。149キロを記録した直球と変化球を投げ分け、立大打線を手玉に取る。1ー1で迎えた七回2死一塁。立大・岡本豪に勝ち越しの適時三塁打を浴びる。重苦しい空気が漂う中、断ち切ったのはエースだった。 まずは打撃で魅せる。八回1死一、二塁で3球目をひと振り。打球は左中間へ飛び、全力疾走で三塁ベースにヘッドスライディング。逆転の2点三塁打を放った。「気持ちが出た」と大学の公式戦では初だという気迫あるプレーを見せた。ノリにノった篠木は投球でもギアが一段と上がった。八回、九回で奪った三振は4個。「もう一度上げられなかったらそのままコケると思った。まだ戦うんだという表現をしたかった。気持ちが入った」と魂を込めた。 リーグ戦には1年秋から登板する4年生。胸にあるのは先輩投手の立ち姿だった。「銀二さんと山下さんが（マウンドを）守る姿に憧れた」。法大の先輩で、ドラフト1位でヤクルトに入団した山下輝投手（25）とドラフト4位でＤｅＮＡに入団した三浦銀二投手（24）が見せるマウンドでの立ち姿に憧れた右腕は、大学日本代表など大舞台での経験を積み重ね、絶対的エースとして君臨する。 引き分けに終わった21日の立大1回戦でも8回122球の力投。2試合合計で254球を投げぬいた。息の詰まる試合でも気迫の表情を見せ続けた右腕は「勝負で燃えるタイプ。ギリギリになればなるほど楽しい」と充実の表情を浮かべた。篠木の闘志宿る投球スタイルが神宮を沸かせ続ける。（児嶋基）
