米債券市場、インフレ率がFRB物価目標下回るリスク織り込む
米国債相場は4月末から上昇基調にある。インフレと労働市場が落ち着く兆しが見られ、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で20年以来となる利下げが実施されるとの予想が強まった。北海ブレント原油相場が1バレル=70ドルを割り込む中、10日の米金融市場で10年債利回りは3.64%と、23年6月以来の低水準となった。
景気への対応で当局が現在5.25-5.5%にあるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を引き下げるペースが足元の議論の焦点だ。金利スワップ市場では、今月17、18両日のFOMC会合について0.25ポイントの利下げを完全に織り込んでおり、0.5ポイントの大幅利下げの確率も20%あるとみている。
ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズの金利ストラテジスト、アンジェロ・マノラトス氏によると、インフレ率に関するスワップ取引では、一段と短めの期間についてさらに厳しい見通しが浮き彫りとなっている。
1年物のスワップ取引を見ると、向こう1年間のCPI上昇率は1.7%にとどまると想定されている。これは急激なインフレ鈍化を意味する。
マノラトス氏は「こうした動向からは、米国債市場がハードランディングについて比較的高いリスクを織り込んでいることがうかがえる。そこから言えるのはインフレ・リスクプレミアムが全くないということだ」と指摘した。
原題:Bond Market Sees Risk of Inflation Falling Below Fed Target (1)(抜粋)
--取材協力:Carter Johnson.
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Ye Xie, Liz Capo McCormick