【第2弾決定】歌舞伎『刀剣乱舞』脚本家が語る図録に“脚本全文”を収録した理由「三日月宗近の一騎打ちで万雷の拍手」
お客様の作品への愛に応えたい
――普段、新作歌舞伎の脚本が、図録などに掲載されることはないですよね。 松岡:歌舞伎座のすぐ近くに、松竹大谷図書館という歌舞伎を始め、松竹製作公演の上演台本を収める専門図書館がありまして、スタッフである僕たちもよく利用するのですが。 ――銀座松竹スクエアにある図書館ですね。貸出はされていませんが、貴重な演劇・映画資料が多数閲覧可能です。 松岡:新作は著作権の関係で複写ができません。ある時、調べものがあって訪れたら、刀剣乱舞の脚本を閲覧されている方がいて。よくよく見ると、歌詞やセリフなどを書き写されていたのでびっくりした経験があるんです。そんな、コピー機がなかった時代のようなことを、平日しか開いていない専門図書館にわざわざ来て行ってくださるなんてと感激しました。そうしたお客様の作品への愛に応えたい、脚本を全て掲載することが僕からできる御礼ではないかと思いました。 令和の時代に歌舞伎を作り続ける俳優・スタッフの思い、そしてファンへの思い……。後篇では脚本の魅力についてさらに伺います!
宇野なおみ