クマの餌場整備へ植樹 小松市、すみ分け進め事故防ぐ 10日、大杉の山奥に70本
小松市は、クマが人里に出没しないよう、餌場となる山林の植樹に力を入れる。第1弾として松東みどり学園6年生で構成する「松東みどりの少年団」と10日に大杉町の山奥にコナラやミズナラ計70本を植える。児童に自然との共生の大切さを伝えるとともに、クマとの「すみ分け」を進め、人身事故を防ぎたい考えだ。 植樹場所は大杉町の林道沿いで、民家から直線距離で約3キロ離れている。2010年に市制70周年記念事業として桜の植樹が行われた場所で、かが森林組合(同市)が所有する敷地約2600平方メートルのうち、約500平方メートルに苗木を植える。 当日は、みどりの少年団の活動として6年生22人が森林保全の大切さを学び、1人あたりコナラ2本、ミズナラ1本を植樹する。苗木が実を付けるまでに少なくとも10年はかかるとみられ、市は今後も年1回程度、植樹を続け、長期的な視点で餌場づくりを行う。 市によると、クマの餌場整備を目的とした植樹は全国的にも珍しい。21年に市が策定した「こまつクマ出没防止プラン」に基づく取り組みとなる。 市内でのクマの目撃件数は、2日時点で48件と例年並みだが、9月末から増加傾向にある。市の担当者は「緩衝帯の整備と併せて餌場をつくることで、餌を求めて人里に出てこようとするクマを足止めしたい。すみ分けを実現し、人身事故の防止につなげたい」と話した。