「ディズニーはお泊りがマスト...!?」名門私立小の休日の遊び方に、新参母が驚きを隠せない理由とは?
平穏な日常に潜んでいる、ちょっとだけ「怖い話」。 そっと耳を傾けてみましょう……。 前編のあらすじ 衿子は一人娘の梨々花と夫の悠人と、都心のマンションに3人暮らし。たまたま教育熱心なエリアに転居したことで、小学校受験に参戦する共働き家庭が増えていることを知る。親が頑張ることで、エスカレーター式に進学できて、いい教育を受けられるならと挑戦。結果、入学考査の課題がたまたま当たった記念受験の名門女子校だけ合格。敷居が高いとわかっていながら入学を決める。しかし入学後、さまざまなところで「格差」を感じる衿子だったが……?
第76話 過ぎた背伸び【後編】
「ママ、創立記念日、ディズニーランド行ける!? アリサちゃんとミカちゃんとユリナちゃんが一緒に行こうって」 もうすぐ夏休み。ようやく一息つける……入学以来張り詰めていたせいで、私は小学生のように夏を待ちわびていた。そんなある日、学校から帰ってきた梨々花がランドセルもおろさないままリビングに飛び込んでくる。 週に2日はテレワークOKというありがたい環境の職場で、今日は自宅で仕事をしていることを梨々花もわかっている。 「え!? ディズニー? でも子どもだけで行けないよね? 創立記念日ってたしか来週の平日でしょう? 誰かお母さんが連れていくってこと?」 私は壁にかけてあるカレンダーを見ながら、必死にスケジュールを思い返す。入学当初、道順を覚えるために2週間毎日送迎をした。地下鉄で1本だから、梨々花はすぐに慣れてくれて助かった。中には1学期中送迎をしているご家庭もあるときく。 夫や母と手分けをして綱渡りでクリアしたけれど、半日休暇をそこでだいぶ消化してしまった。2学期も保護者会や行事は容赦なく平日にもあるから、できるだけ有休はとっておきたい。 「もちろんママたちもみんな一緒だって。アリサちゃんとユリナちゃんは4月にも行ったみたいで、すっごく楽しかったって! ねえママ、わたしも絶対行きたい! ディズニーランド、5歳のお誕生日で行っただけだもん、絶対行く!」 「うーん、でも、まずはアリサちゃんのお母さんたちとも相談してみないと……。子どもがいきたくても、大人にはいろいろ都合があるだろうしね」 うかつにここで安請け合いすると大変なことになる。私は曖昧に返答を濁した。ママたち4人と1日中ディズニーにいるなんて……考えただけで気疲れする。パスポート代も食事代もすごくかかるだろうし。みんなに付き合うと、お土産やおやつも大変そう。 「みんなのママはもちろんいいって。いつも前の日からお城みたいなホテルに泊まるって言ってた! ねえママ、私もそうしたい!」 「……何言ってるの、おうちから朝、電車でいけば大丈夫、1時間もかからないわよ」