スペイン代表が披露した“新しいティキタカ”。実は否定的な意見も多かった黄金時代の戦術とは異なり...【現地発コラム】
ラ・ロハとバルサは、“〇〇のプレーしてくれる選手”探しに奔走した
スペインは理想のサッカースタイルを見出し、二度と手放してはいけないと声高に叫ばれたが、シャビ、イニエスタ、ダビド・シルバ、セルヒオ・ブスケッツとキーマンが1人ずつ去っていくに従い、アイデンティティは失われていった。ラ・ロハとバルサは、“〇〇のプレーしてくれる選手”探しに奔走したが、選手には向き不向きというものがある。 ルイス・デ・ラ・フエンテが重きをいたのもまさにその点だ。つい最近までマルコ・アセンシオやダニ・オルモのような万能アタッカーを左右両サイドに配していたチームに、ラミネ・ヤマルとニコ・ウィリアムスという本格派のウイング2人が台頭した。指揮官はアセンシオとオルモの負傷中に2人を抜擢し、状況は一変した。 確かに今のスペインにもティキタカのエッセンスは残っている。スキルに長けた選手が揃っている点は同じだ。しかしその一方で縦への意識が高まり、ペナルティエリア外からのシュートが増えた。ティキタカのアイデアは、攻め急がず、ボールを左右に展開していれば、自ずとスペースは生まれるというものだ。 現代表のアイデアは、スペースが生まれるのを待つというよりも、テクニック、スピード、インテリジェンスの三拍子揃う両ウイングの突破力を存分に活かして、守備網をこじ開けようというものだ。 グループステージの最初の2試合、とりわけイタリア戦で、ラ・ロハはティキタカへのノスタルジーを払拭した。グリヘルモは、我々を幸せにし、そのエッセンスを今も残しているあのサッカーを完全に葬り去らないために、パイソン付きのティキタカという新たなネーミングを提案する。 EUROがどのような結末を迎えるのか、準々決勝で開催国ドイツの前に屈する悲観的なシナリオを描く者もいるが、今の代表にはウィーン、ケープタウン、キエフで凱歌をあげた黄金期のチームと同種類の満足感や誇りを我々にもたらしてくれる。 サッカーは選手のものだ。優秀な監督とは、選手の能力を引き出す戦術をデザインする役割を担う。2人のルイスが行なったことも、やり方は異なるが、プレイヤーズファーストという原理原則は同じだ。 文●アルフレッド・レラーニョ(エル・パイス紙) 翻訳●下村正幸
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