髙橋尚子さん「更年期にも人生にも、無駄な時間はありません」|STORY
◇ 更年期にも人生にも、ムダな経験はありません
― 自分専門家として常に自分の体に寄り添っている高橋さんですが「体を知るのに難しいテクニックはなくていい」のだそう。 例えば、1日1回、アキレス腱をゆっくり片足ずつ伸ばして「今日は強張ってるな」「ふくらはぎがつりそうだな」という、違いを感じるだけでも大丈夫。ちょっとした不調を感じ取れれば、全身に注意を払うことに繫がり、結果的に「気」を全身に巡らせることができます。 またメンタルケアも大事。私の場合は、何を言っても言わなくても(笑)、いろんなことを取り沙汰される時期があったおかげでポジティブ変換が得意になりました。凹みもしましたが、あるとき「走るだけが練習じゃないんだ」「この経験は強い精神を持てというメッセージなのかも」と思えてからは、何事もマイナスで終わらせない思考の転換ができるようになりました。 元々は心配性で弱い選手。20歳くらいまでは全くの無名選手で、努力が足りなかったら弱い自分に戻ってしまう恐怖が常にありました。そのため戻りたくないと、強くなる工夫と努力を続けていました。もちろん今も同じです。気を抜かず、ストレスは溜めず、自分のペースで健康に向き合いたい。と言っても決してストイックではなく、特に食に関しては我慢せずに食べるのがマイルール。夜中の2時に突然カップラーメンを食べ始めてパートナーに驚かれることも(笑)。でも、食べ物でストレスは感じたくないんです。食べたら動けばいいんですから。 そうやって適度に肩の力を抜きながら、更年期という約10年間の谷間を乗り越えた後も続く人生というコースを軽やかに走り抜きたいですね。 〈TOP写真〉ワンピース¥31,900(POM AMSTERDAM)〈末尾写真〉トレーニングウェア(衣装協力/アシックス) 撮影/田頭拓人 へア・メーク/高城裕子 スタイリスト/森 美幸(監物事務所)取材/柏崎恵理 撮影協力/アンジェパティオ ※情報は2024年3号掲載時のものです。