乾友紀子さん

　滋賀県で開催される国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会（国スポ・障スポ）が開幕1年前となった。経済成長に国中が沸いた昭和期に開かれたびわこ国体から44年。平成を飛び越え、令和という新たな時代に、名前も変わった新しい大会を迎える。未来の滋賀を担う選手たちが、支える人が、そして街が動き出している。 　　　　　◇ 　アーティスティックスイミング（AS）のソロで世界一に輝き、世界の「ソリスト」となって一線を退いた乾友紀子さん（33）=井村ASクラブ。現在は所属クラブのコーチとして新たな一歩を踏み始めている。滋賀県近江八幡市で生まれ育ち、小学生時代に競技を始めた乾さんは、地元で迎える大会に特別な思いを抱いている。 　　　　　◇ 　近づいてきましたね。楽しみです。国体（国スポ）っていろんな地域で行われて、ご当地の雰囲気を楽しめる。名産品を食べたり、お祭りみたいな感じ。何より県の代表という肩書きは選手には誇りなんです。 　現在は井村ASクラブで主に中学生以下を指導しています。国スポのことも時々選手に話します。「取材されるのはまず優勝した選手やけど、その次は地元選手なんやで。だから頑張りや」って。県を背負っているんだというモチベーションや自負を経験をできるのは国体ならではです。 　私は国体出場の経験はないけど、いつも「私は滋賀県のアスリート」と思って戦っていました。滋賀の皆さんの応援を身近に感じていたし、その期待は力になります。来年は近江八幡でバレーボールや（公開競技の）綱引きがあるようですね。ぜひ見に行きたい。国体って町ぐるみで盛り上がるし、すごく楽しみ。 　　　　　◇ 　いぬい・ゆきこ 1990年、近江八幡市出身。小学1年でシンクロナイズドスイミング（アーティスティックスイミング=AS）を始め、6年時に井村シンクロクラブ（現井村ASクラブ）へ。2012年ロンドン大会から五輪に3大会連続出場を果たし、16年リオデジャネイロ大会はチームとデュエットで銅メダル。昨年福岡で開かれた世界選手権のソロ2種目で2大会連続となる金メダルを獲得した。近江兄弟社高を経て立命館大出身。