「復興は失敗した」集団避難の集落で孤軍奮闘「絶対におれが復興させる」起業家男性が目指す“元気な奥能登”…能登半島地震
不屈の覚悟「でも、俺はうまくいく」小さい成功事例を積み重ねたい
6月中旬。 向かいの建物にはブルーシートがかけられたままの一方、奥田さんのカフェは、工事用の足場が外され、外壁には補修の痕が残っていました。多い日には一日260個売れていた日替わり弁当は、集落の工事が進むと共に少しずつ売れ残るようになり、奥田さんは時間の経過を感じていました。 奥田さん「マスコミの報道も減ったよね。今も能登のニュースがあっても『またか』と思われるし。復興に失敗した石川県は、恥だ、真剣にそう思う」 南志見地区では4月以降、仮設住宅が順次完成し、住民が戻り始めていますが、それでも震災前と比べて、人口は5月までに1カ月に10人のペースで減少しています。奥田さんは「時間がかかり過ぎて住民らが離れる理由を与えてしまった」として「一年経ってもこんなもんだと思う」と話します。その一方で… 奥田さん「でも、俺はうまくいく。覚悟決めて能登に来ているから『こんなことで諦めない、世界に発信できるチャンス』だと思っている。早く再開させることが大事で、頑張っている姿はみんな見ている。待っているだけではダメだ。小さい成功を積み重ねることで『俺もやろう』という人を増やしたい」 「奥能登を元気にする」を企業理念に掲げ、これまで過疎地での事業に取り組んできました。復旧・復興が程遠いと言える状況のなか「利益よりも成功事例を作りたい」と前を向きます。 能登半島地震から半年。専門家も「異常な災害だ」と指摘する一方、奥田さんは「南志見地区で出来るなら、能登でどこでも出来る」と、今も復興に向けて地域の魅力づくりに奔走しています。
編集後記:取材を振り返って…
被災地では仮設住宅の建築が進み、少しずつだが道路も繋がりつつある。「復興への槌音が…」と言いたいところだが、現地を取材していると、被災者は「ようやく」といった思いを抱いていることがわかる。「復興の遅れ」を指摘する声が多いなか、奥田さんが言い切った「失敗した」という言葉には重みを感じた。それだけ被災地ではインフラや生活基盤の復旧に時間を要しているのが現状だ。 そして人手が足りていない。震災直後に県知事が発した「能登への不要不急な移動は控えて」というメッセージの余波は、今や住民らの心に「諦め」という形で暗い影を落とす。その一方、ピンチをチャンスに変えようと奮闘する人がいる。 過疎地に賑わいを取り戻すために起業したとあって「世界に発信できるチャンス」と不屈の精神を見せる奥田さんには、能登半島で生きる人のたくましさがある。少しでも多く、長く、支援が入る事を願ってやまない。 *この記事は、MRO 北陸放送と Yahoo!ニュースによる共同連携企画です。
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