「復興は失敗した」集団避難の集落で孤軍奮闘「絶対におれが復興させる」起業家男性が目指す“元気な奥能登” 能登半島地震
「奥能登に人を呼び込む」孤軍奮闘でも諦めない
奥田さんが進めていたゲストハウスの開業も地震の影響で延期に。建物は基礎が折れ、およそ1千万円の地盤工事が必要ですが、開業を諦める様子はありません。 「今足りないのは、人の動きやとおもっている。そして何が足りんかと言ったら、観光スポットやと思っている。ここには隆起してしまったけど海がある。川にはでっかい鮭とかもいるし、魚釣りとか…。今、アウトドアのサウナとかすごく好きな人がおるし、そういう人ってどこでも来てくれる」 集団避難で人がいなくなった南志見地区を、人で賑わう場所にしたいと、奥田さんは切に願います。
進まない復興…「我慢とか忍耐で済む話ではない」
4月下旬になっても静まり返った南志見地区を「減災・復興支援機構」の木村拓郎理事長が訪ねました。東日本大震災や熊本地震など数多くの被災地を見てきましたが、うねった道路や崩れ落ちた屋根が広がる光景に驚きを隠せない様子です。 木村さん「やっぱり復旧、復興を大前提にするなら、壊れた家の解体撤去を早くしなきゃいけない。ボランティアは、被災者がいて『困っているから助けよう』と駆けつけるので『被災者がいないなら行ってもしょうがない』という話になる。人がいないとボランティアが助けに来ることは、まずないと思う」 カフェ「ココハサトマチ」を訪ねた木村さんに、奥田さんは「戻ってきている住人は10人か20人くらいじゃないか」と説明します。 奥田さん「この辺の人は、集団避難しておらんから。どうしても工事自体はやっぱり後回しになるのかなって思いますけど。ここは基本的にはお客さんが来ないところなんですよ。」 「自分のすることが復興に繋がるのか」奥田さんは葛藤する心境を話し始めます。
「我慢や忍耐で済む話ではない」…悩みながら孤軍奮闘する奥田さん「絶対におれが復興させる」
奥田さん「自分がやっていることが、思っとる結果になるのかな、というのはいつも悩むよ。『合っとるんかな…でも、やらんなんよな』という感じ。約4カ月経つんやけど、進んでないですよね」 震災直後の1月5日、石川県の馳浩知事が被災地に来ないように、ボランティアの自粛を呼びかけました。木村さんは、このメッセージが今も影響していると指摘します。 木村さん「(県知事が)自粛を呼び掛けたことで『能登は行っちゃいけないんだ』みたいな雰囲気が広がっている。最初から住民の皆さんは諦めムードというか」 我慢や忍耐で済む話ではないと言い切ります。 木村さん「時間が経つほど戻る人は少なくなってしまう。人口が減ると過疎化に拍車がかかり、復興にはマイナスになる。震災直後に『自粛して』と言ったので、ボランティアは遠慮して来ない。それを被災地の中の人も感じている。災害のなかでも非常に異常な災害だと思う」