「16歳未満はSNS禁止」、豪で可決の法案にハイテク大手が一斉に反発
オーストラリアの議会上院は11月28日、16歳未満の子どものSNS利用を禁止する法案を可決した。この法案は、16歳未満の利用者がアカウントを持つのを防ぐための適切な措置を講じなかったSNS企業に、最大3300万ドル(約49億4700万円)の罰金を科す内容となっている。 オーストラリア政府は、この法律を1年後をめどに施行する見込みという。同国のアンソニー・アルバニージ首相は、この法案を称賛し、「オーストラリアは若者の安全に関して世界をリードするポジションを築こうとしている」と述べていた。 SNS企業各社は、今週初めにオーストラリア政府に対して、この法案の審議を遅らせるよう申し入れていた。グーグルとメタは、年齢確認ツールの試験運用が完了するまで待つよう求め、この法案が「一貫性がなく効果的でない」と主張したとロイターは報じた。 TikTokは声明で、この法案には「深刻かつ未解決の問題」があり、「全てのオーストラリア人に意図しない影響を与える可能性がある」と述べた。また、X(旧ツイッター)のオーナーであるイーロン・マスクは、この法案が「全てのオーストラリア人のインターネット利用を制限するバックドア的なやり方だ」と批判した。 オーストラリアのこの法案は、若者のSNS利用を制限するものとしては世界で最も厳しいものになるが、多くの国が同様の制限を試みている。 米国には、テクノロジー企業が13歳未満の子どものデータを収集する際に親の同意を必要とする「児童オンラインプライバシー保護規則(COPPA)」が存在し、EUは昨年、子どものオンライン保護を強化し、未成年者へのターゲティング広告を禁止する「デジタルサービス法(DSA)」を成立させていた。 しかし、フロリダ州のロン・デサンティス知事は今年初めに14歳未満の子どもがSNSアカウントを持つことを禁止する法案に署名したが、この法案は、法的な課題に直面している。また、同様の法案は、ユタ州やオハイオ州、アーカンソー州、カリフォルニア州などでも検討されたり、可決されたりしているが、憲法上の権利を侵害すると主張する勢力からの抵抗に直面している。 一方、オーストラリアで可決された法案については、具体的な実施方法がまだ明らかになっていない。同国で年齢確認システムの導入を担当する、eセーフティー・コミッショナーのジュリー・インマン・グラントは、このシステムが生体認証や政府発行の身分証明書を使用する可能性があると述べたが、この方法についてはプライバシーの懸念が指摘されている。 グラントはニューヨーク・タイムズの取材に、「年齢確認のテクノロジーは、急速に進歩しており、今後対応可能になると信じている」と述べた。「我々は、企業がターゲティング広告に用いる技術とノウハウを使って子どもの年齢を特定し確認できるはずだ」と彼女は指摘した。
Molly Bohannon