「はじめまして、タデクイです」【後編】ぴあ音楽編集部イチオシアーティストインタビュー
──やりたいことや音楽性はどんどんこれからも出てきそうですが、バンドとしての展望、こういうバンドになっていたいという未来像っていうのはありますか。 下倉 俺、今日マイケル・ジャクソンになりたいって言ってたんですよね(笑)。マイケル・ジャクソンの「キャプテンEO」のTシャツを着てきてるんですけど──。 ──ディズニーランドにあったマイケル主演のアトラクションでしたよね(3D映画アトラクション)。 下倉 「キャプテンEO」って、マイケルが愛のビームを撃つんですけど、音楽で魔女たちを天使に変えるというのが最高なんですよね。曲もめっちゃかっこいいし、これってリアルでもできるじゃんって思って。それにめっちゃなりたいんですよね。マイケル・ジャクソンは憧れますね。あとは「tiny desk concerts」(米国公共放送NPRがネット展開する音楽コンテンツ)にいつか出たい。 OMI 日本版の方で? 下倉 日本版もいいけど、向こうに呼ばれるくらいになりたいかな。 ──さっきのマイケルの話ですけど、魔女をやっつけるじゃなくて天使に変えるという、その発想がいいなという感じですか。 下倉 そう。愛で救うんですよね。みんな幸せになれるじゃんっていう。サマー・オブ・ラブですよね(笑)。それをやりたい、俺はね。 大地 俺はまだ、ポップスを聴いてきて好きだからやっているだけで、ポップスをやっている人たちが言うような、“みんなを”っていう感覚がまだあまりなくて。好きだからやっているというのが大きいかなあ。 下倉 もちろん、俺もそれが根底にはある。めっちゃ好きで、その上でそれをきっかけに幸せになれる人がいるみたいなね。自分が好きでやっているものの、その向こう側に人がいるのって、結構あり得なくない? OMI そうだね。 大地 俺はまだライブ規模でやっと考えられるようになっている感じかな。誰かのライブを観て自分が最高だなってなった感じを、自分も誰かにさせられたらいいなっていうのはやっと意識したくらいだから。 ──これから東京でライブをするペースっていうのは、増えそうですか。 下倉 今のところ年1回くらいになっているので、今年中にまた来たいなというのは思っていますね。 OMI 僕と幹人は札幌ですけど、今は大地が東京にいるから、いろいろできることもあると思うし。 ──対バンはどういう感じがいいとかあるんですか。 下倉 かっこよかったらいいなって思います。 大地 今、札幌とかもやばいからね。 下倉 知ってます? テレビ大陸音頭とか。 ──SNSで話題になって、ニュースでも取り上げられていた高校生のバンドですよね。タデクイもそうですけど、若くて、おもしいことをやっているバンドが出てきてるようですね。 OMI あれは、やばいですよね。 ──テレビ大陸音頭がっていうことじゃなく、SNS等でバズるっていうことに対してタデクイはどう思っているんですか。 下倉 バズりたいですよね(笑)。でもじわじわとやっていくのもいいかなと思うので。 大地 うん、バズるっていうのは結構危ないよね。 下倉 バンドに興味を持ってくれる人が増えるのはいいんですけど。俺らの感覚としては、たまにひいばあちゃんに会って一万円もらったくらいの感じがあったらいいなっていうか。 大地 それがバズるってこと!? 下倉 バズじゃなくても、200いいねついたとかでもいいんですよ、それってめっちゃうれしいじゃん? それがひいばあちゃんからお年玉じゃなくおこづかいで一万円もらう感覚っていう(笑)。バズを乗りこなす自信がないわけじゃないけど、どうしてもそれに引っ張られてしまう、そういう引力ももちろん生まれてしまうとは思うので。バンドとして、ちゃんと確信を持ってやりたいんですよね。 Text:吉羽さおり