「はじめまして、タデクイです」【後編】ぴあ音楽編集部イチオシアーティストインタビュー
──そうやって前身バンドからいろんな音楽やジャンルをやっていって、タデクイになったときの自分たちの色とか、こういうのが好きかもなっていう輪郭が見えてきた感じですかね。 下倉 そうですね。自分で見つけることもできるんだっていう感覚かな。好きなものが増えていくし、観るものも増えたし。その上で、これは好きで、これはそうでもないなという気持ちが出てきたというか。それまでは、音楽に対して受け身だったんです。俺のお袋がミュージシャンなんですけど、ライブについていって、その場にいたから聴けた音楽みたいな感じだったけど。自分でライブに行って観る・聴くとか、自分でSoundCloudでディグって見つけて、これめっちゃかっこいいじゃんってこともできる。友達がやってるバンドを観て、かっこいじゃんっていうのも増えたし。それは阿寒湖畔にいたからじゃなくて、札幌に出たから広がったものでもあるし。そういう移ろいに比例して、自分たちもまた広がったというか。さらに今は、大地が東京に行ってるし。 ──東京での交流から広がることや、新しいバンドとのつながりもできそうですね。 大地 ひとりで音楽を聴いているときよりも、友達や環境でもだいぶ音楽は変わっていますよね。 ──音楽を作る上でやライブでも、タデクイの音楽を聴いてくれる人がいるという、リスナーを意識することっていうのはあるんですか。 下倉 そこは正直ごめんなさいなんですけど、ないんですよね。 大地 俺は最近やっとお客さんというか、観てくれる人というのは意識するようになったかな。 下倉 ライブではないんですけど、ただ歌の対象というのはなんとなく決めたりはしていますね。それは人だけじゃなくてものとか、概念とかもそうだし。例えば、これは海に歌う歌だっていうものとか。どんなにバンドの規模感が変わっても、やっていることは同じにしたいんですよね。 ──なるほど。今年、閃光ライオットにエントリーをして、6月には第3次ライブ審査まで進んでいますが、こうしたオーディションにトライして得ている感触はありますか。 下倉 オーディション自体に弱いバンドだと思っていたので、3次審査に行けると思ってなかったんです。昨年も応募をしてて、2次審査で落ちてしまっていて。だからやったーって思ったのと同時に、伝わればいいなっていうのはありますね。今、あまり聴き馴染みのある感じの歌ではないかもしれないから、好きになってもらえるかなっていう不安はあるんですけど。コンディションはいい感じなので。 ──普段、これだけたくさんの同世代のバンドと一緒になる機会もそうないのでは? 大地 前に釧路でも一回あったんですよね。そのときに出会っている友達とかは、今も仲が良かったりするんです。というか、逆に後になってつながった感じがあったのかな。その当時に出会ってこんな人たちがいるんだなって思っていたら、その後に札幌でも会うようになったりとか。 下倉 だから長い付き合いになるよね。 ──同世代と一緒にやる、閃光ライオットのようないろんなバンドが出ているなかで、よりタデクイの個性が自分たちでも見えてきそうですよね。その辺りはどうですか。 下倉 結構、浮き彫りになっちゃうかな。きっと、何が足りないのかもわかるし、どこが強みかもわかればいいなって思うし。 ──現時点で、バンドの強みだなって思うのはどういうところですか。 下倉 ジャム感みたいな。各々の技量と、この3人ならではの感覚の部分ですよね。ただそれは周りに伝わるものなのかって言ったら、そうでもないのかな。人から見たらどうなんだろう? ──伝わるんじゃないですか。ライブの映像でも、この3人の独自の空気感は伝わってきたくらいですから。さらに、今後ここを伸ばしていきたいなというところはありますか。 下倉 ちょうど昨日話していたんですけど、アレンジをもっと詰めたいんですよね。どうしても3人でスタジオに入るとジャム・セッションになりすぎていて、こういう展開をするっていうふうに決めてやることがあまりないから。逆に作り込んでやってみたいんですよね。そういうタイミングや時間を作りたい。合宿とかしたいですね。