「原発のないリスクも考えないと」…九電・池辺社長が語る今後の道筋 新増設は投資環境見極めて、不安解消はフェース・ツー・フェースで
九州電力の池辺和弘社長は4日までに南日本新聞のインタビューに応じ、川内原発(薩摩川内市)の運転延長について「40年を超えても安全だということを体現する責任を感じる」と述べた。新規原発の着手は国の支援など投資環境を見極めるとし「判断はその後。2025年に議論できる地合いが整うか、自信はない」との認識を示した。 【写真】インタビューに答える九州電力の池辺和弘社長=福岡市
-24年は川内1号機が40年超運転に入った。 「電力需要が増える中で延長させてもらい、非常にありがたい。カーボンニュートラルを進め、環境問題に取り組む経営上の大きな効果がある。また、ウランは他の燃料と比べて価格が安定し、(発電の)原価に占める割合も少ない。安定して届けられるメリットがある」 「これを伝えるには情報公開が大事で、長く安定して運転することはもっと重要だ。現実的なリスクは原子力規制委員会の厳しい審査で穴をふさげている。不安はフェース・ツー・フェースで解消する。電気が足りなければ、半導体工場などは国内に建てられず、子や孫の働く場がなくなる。原発がないリスクも考えないといけない」 -次期エネルギー基本計画の原案は川内原発の増設を可能にする道筋を描く。公表後、新規建設は「まだ先の議論」との考えを述べた。 「エネ基が成案になり、法律で資金を借りられる制度などが整い、われわれも投資家や株主、地元に説明できるとなってから、どこで造るかの議論になる」
「一般論として原発が必要なのは間違いない。川内原発は送電線が既にあるので少し有利ではある。ただ、どんなタイプの原子炉を使うかを含め先の話。(建設は)急がないといけないが、法律は簡単にはできない」 -鹿児島県の塩田康一知事は、川内原発での新たな建設に難色を示している。 「直接話をしていないから、何も言いようがない」 -川内原発で使用済み燃料を乾式貯蔵する施設の整備は「技術的検討中」の状態が長く続く。 「担当部署がきちんと分析して検討しているから。後になるほど、技術的な選択の幅も広がっている」 -使用済み燃料プールは31年に満杯になる。時間的制約との兼ね合いは。 「日本原燃の再処理工場(青森県)に搬出できれば何の問題もない。工場完成は27回延期されているが、26年度に完成という現在の計画とのバランスもある」 -急いで整備する必要はないということか。 「延びるリスクを見ないわけにはいかない。造る期間なども考えて最終決定するだろう。再処理工場については、規制委の審査を早く終えようと協力している立場。延びているのは丁寧な審査をしてもらっているからだと前向きに捉えている」
-低廉さを売りにする原発の活用で電気料金は下がるか。 「全体的に物価は上がる。資材価格や人件費が上がる中で、値上がりのスピードを少し緩められる程度でしかない。電力が足りなくなる時にカーボンニュートラルを実現していくため、原子力も再生可能エネルギーも最大限頑張る」
南日本新聞 | 鹿児島