生成AIの「プロンプト集」が不要である理由 (横須賀輝尚 経営コンサルタント)
■すべての条件を毎回1からプロンプトで入れるのはたいへん
2つ目の理由として、すべての条件を毎回1からプロンプトで入れるのは、生成AIを使う人間にとってもたいへんな作業である、ということがあります。 そもそも巷のプロンプトが長くなってしまうのは、「私はこういう仕事をしていて、仕事の補佐のためにGPTsを使いたくて……」といった、事前情報まで含めて毎回入力させるものも多いからです。でも、そんなところまでプロンプトの形に整形して入れていたのでは、ものすごく手間がかかりますし、プロンプトが複雑になる結果、「雛形を一生懸命に埋めたのに、結局思うような出力を得ることができない」……というなんとも本末転倒な結果になってしまうこともあるわけです。 あなたの仕事内容、キャリア、資格やスキル……こうした情報を毎回プロンプトとして入れるのは、生産的だとは言えません。
■プロンプトは生成AIに考えてもらう方がかんたんで正確
もうひとつの理由。実はこうしたプロンプト偏重の考えは、生成AIの良さを活かしきれないという盲点もあるのです。これはコロンブスの卵のような発想になりますが、プロンプトは生成AIに考えてもらう方がかんたんで正確なのです。 たとえば、何かしらのビジネス原稿を書きたいと考えたとき。プロンプト重視のやり方だと、原稿のテーマを伝え、ボリュームを指示し……と思いつくことを一度に入力していくことになります。そして出力結果を見ると、「あ! 文章テイストを指示するのを忘れた」……こんな風に、入れ忘れが出ることも多いでしょう。そこで、生成AIに聞くのです。 「これから、文章執筆のサポートをお願いしたいのだけれど、どのようなことを伝えればいいか、項目を教えて」と。 そうすると、生成AIはプロンプトを考えてくれます。あとはその項目に沿ってプロンプトを入れるだけ。「あなたがやりたいこと」を伝え、「そのためにどんなプロンプトが必要か」を聞けば、そのプロンプト(項目)は生成AIが教えてくれるというわけです。しかも、あらかじめ「あなた」の情報を生成AIに伝えておけば、ただ「サポートして」というだけで、あなたにとって最適な回答が帰ってくるようなプロンプトを考えてくれるのです。 これを知っていれば、プロンプト集なんて要りません。いつでも、効果的なプロンプトを生成AIが考えてくれます。プロンプト集をもらっても、どこに保存したかを忘れ、探すのに何十分もかかってしまった……なんてことにならないようにしたいですね。 横須賀輝尚 パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役/特定行政書士
【プロフィール】
1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ2,000人以上が参加。著書に『プロが教える潰れる会社のシグナル』(さくら舎)、『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、他多数。