つくたべやワタサバ「NHK夜ドラ」ヒットの背景 平日「夜の15分ドラマ」製作の狙いを聞いた
「制作サイドによると、夜ドラは前日の内容をなぞりながら始まることが多いのですが、『ミワさん』はそれをしなくても、どこからでも気楽に楽しめる作りを意識していました。そういう1つひとつの取り組みで、あまり難解ではなく、リラックスして見れるというイメージの枠になっているのかなと思います」(手塚氏) また、お笑いタレントの丸山礼が自己中心的で破天荒な主人公を演じる『ワタシってサバサバしてるから』は、当初は「夜ドラ」枠と親和性があるのか、編成部内で議論になったというが、結果的には幅広い年代の視聴者に見られるヒット作となった。
民放ドラマと比べても、夜の15分帯ドラマは珍しい。国民的ドラマである「朝ドラ」とは対象年齢層が異なるが、そこで培ってきた帯枠ならではのリズムやテンポといった知見は、NHKの強みとして「夜ドラ」にも活かされているようだ。 特に「夜ドラ」に関しては、1時間や2時間ドラマとは異なる、15分ドラマの“ゆるい楽しさ”が現代人の感性やライフスタイルにマッチしているのかもしれない。 そんななかで、女性の厚い支持を長く受けるヒット作になったのが、冒頭でも紹介した、『作りたい女と食べたい女』(2022年11~12月)だ。好評を得て、2024年1~2月にシーズン2が放送され、「夜ドラ」初の続編作品となった。
続編が生まれたことは、2022年の「夜ドラ」開始から少しずつ認知と関心が高まり、視聴者に定着してきていることの1つの証しになるだろう。 本作は国内だけでなく、海外からの反響も大きいという。フランス・カンヌで毎年開催される世界最大の国際テレビ見本市MIPCOMでは、LGBTQIA+部門のファイナリストに選出された。 同作シーズン1は、料理を作って食べることがメインであり、女性2人の半径5メートルの生活を映し出し、2人の世界観にふわっと入っていけるストーリーだった。