舞台からバラエティ番組、アニメまで。石丸幹二「僕の挑戦は広がり続けています」
老いは誰もが辿る道。何を持って生きれば輝けるのか
――初演、再演を振り返っていただけますか。 初演時は音楽劇ということで、歌で表現することに重きを置こうとしていたんですね。しかし稽古場でよくよく台本を読むと、テキストがとても濃厚なことに気づき、テキストをきっちり理解して語れているのかな?と不安になったりもしました。しかし本番では共演の仲間たちが良い意味で手綱をお互いにさばき合いながら、日に日にブラッシュアップしていきましたね。皆さん芸達者で、人の力を頼りながら演じるという学びもありました。 再演ではテリーとネヴィルのキャストが変わり、初心を忘れていないかを確認しながら演じました。人が変われば全く違うアプローチになるので、新鮮に向き合えましたね。 ――初演の時にはチャップリンのご遺族に会われたとか。 はい。チャップリンのお孫さんに会いました。祖父であるチャップリンをすごく愛し、尊敬していました。もちろん、ヒーローですからね。彼は俳優でもあり、舞台上で共演しました。刺激的でした。 ――この物語のテーマのひとつが老い。年齢の重ね方やこの先の生き方について、考えることはありますか。 この作品は、人は老いていく中で、どう生きたらいいのか、何を支えに生きれば自分が輝くのかを見せてくれます。そして、その時にできることをやればいいんだと言ってくれていると思うんですね。たとえば、俳優としても、年を重ねないとできないようなキャラクターにこそ向き合い、作品を締める側に回ればいいんだなとか、映画を見て感じましたね。 ――しかし最近の石丸さんのご活躍を見ると、まだ新境地を拓いていらっしゃるのでは? バラエティ番組の「ハモリ我慢ゲーム」は最強の刺客として話題沸騰でしたし、「仮面ライダーガッチャード」九堂風雅役や「ドラえもん のび太の地球交響楽」ワークナー役など、意外な石丸さんの一面が表れているような。 私自身のチャレンジの道は未だに広がり続けています。特にこの1年。「ハモリ我慢ゲーム」で改めてバラエティー番組の面白さを再認識し、子ども向けのドラマやアニメへの出演がきっかけで、コンサートに子どもたちとその親御さんが来てくださるようになりました。「仮面ライダーの風雅さーん」って子どもたちから呼ばれると、気持ちが若返ります(笑)。年齢に近い役も大事ですが、時にはキャラクターの幅を超えるのも俳優の醍醐味。楽しみながら役に向き合うことが、私のこれからになるでしょうね。 取材・文:三浦真紀 撮影:石阪大輔 <東京公演> 音楽劇『ライムライト』 公演期間:2024年8月3日(土)~18日(日) 会場:シアタークリエ