秋季練習初日、阪神・佐藤輝明㊨と話をする藤川球児監督（撮影・安部光翁）

阪神・藤川球児新監督（44）が22日、甲子園でスタートした秋季練習初日から精力的にコミュニケーションを図った。練習開始前のミーティングでは来季5年目を迎える佐藤輝明内野手（25）に「姿勢を見せていけ」とゲキを飛ばし、リーダーとしての自覚を促した。日程が発表された秋季キャンプでも鍛え上げる考えも伝え、V奪回を目指す藤川阪神が動き出した。 【写真】真剣な表情でバッタを見つめる阪神・佐藤輝明 背番号「22」のユニホームに身を包み、甲子園に戻ってきた。現役時代に絶対的守護神として虎を支えた藤川新監督が、これからは現場の最高責任者としてチームを引っ張る。指揮官としての〝第一歩〟となる秋季練習初日から気力満々だ。 「僕は違和感はないんです。（ユニホームを着て湧いた感情は）何にもないです。不思議ですけどね」 注目と期待を集める中でも、感慨に浸ることはない。グラウンドに足を踏み入れる前には、クラブハウスでの全体ミーティングで〝火の玉ゲキ〟を飛ばした。 佐藤輝を名指しして「しっかり姿勢を見せていけ。背中を見せていけ」とハッパを掛け、リーダーとしての責任感を促した。4年目の今季は打率・268こそキャリアハイだったが、120試合出場は自己最少。16本塁打、70打点はともに昨年を下回った。さらに三塁の守備では両リーグ最多の23失策。2軍落ちも経験した。それでも、主軸としてやってもらわないといけない一人。だから、ズバッとメッセージを投げ込んだ。それを受け取った左の大砲も「背中を見せていきます」と気合十分に呼応した。 この日発表された秋季キャンプの日程にも、新指揮官の考えが強く表れた。11月1日から自身の地元高知で行う安芸キャンプは、5勤1休で3クール。ミーティングではみっちりとナインを鍛える期間への心構えも説いた。「いかに、熱く、この秋季キャンプに入っていけるかというのが、来年に向かう意味でも非常に大事。みんなについてきてほしいということを伝えました」。1軍戦士たちと初めて顔を合わせ、1年間戦い抜いた疲労を感じ取ったが、手綱を緩めることはない。 練習前からほとばしった情熱は、グラウンドでもあふれ出た。各部門のコーチや平田2軍監督ら首脳陣をはじめ、才木や佐藤輝だけでなく、鳴尾浜から呼び寄せた別メニュー調整中の湯浅や下村らと次々に言葉を交わした。外野グラウンドからバックネット裏へ。話しては歩き続け、立ち止まる時間はほとんどなかった。積極的にコミュニケーションを図り「鬼気迫るような状況とか、ゲームが始まった中で会話ってできない。いかにそれが伝わるかは、まずはコーチの方々とコミュニケーションをとって。それが伝わりやすいように浸透させないといけない」と意図を語った。