最速１５９キロを投じる直球の握りでボールを持つ愛工大の中村優斗投手

◇１０・２４　いざ！！ドラフト　大学生編 　プロ野球ドラフト会議が２４日に迫ってきた。中部地区からプロ入りを志す高校生、大学生、社会人選手を３回に分けて特集する。第２回は愛知工業大の中村優斗投手（２１）を紹介する。 　地元を離れて入学した愛工大で、野球人生が大きく動き出した。アマチュア球界最速の１５９キロを投じる中村は、ドラフト上位候補に名を連ねる。今年３月にプロの選手に交じって侍ジャパン入りを果たし、欧州代表との強化試合では１イニング無失点の好投。１年間注目され続け、ついに運命の日が近づいてきた。 　「周りから言われることも多くなって、今は１位でプロに行きたい気持ちが強い」と心境を語る。

「らしくあれ」の５文字が刺しゅうされた中村のグラブ

　長崎・諫早農高時代は公務員志望。同じ九州出身で元ロッテの愛工大・平井光親監督から熱心な勧誘を受けて進学すると、想像以上の未来が待ち受けていた。入学当初は「もちろん行きたい気持ちはあったけれど、プロは夢のまた夢だった」 　高校の最高成績は県８強で全国的に見れば無名の存在だった。当時の最速は１４５キロ。大学では１年春からリーグ戦で登板機会をもらい、少しずつ階段を登った。転機になったのは、１５１キロを計測した１年秋の中京大戦。当時の最速は１４９キロで「あと１キロが伸びなくて、このまま終わるのかな、と。そのくらい１５０という数字は大きかった」と振り返る。 　自身の可能性を感じ、現実のものとしてプロを意識するようになった。数字としても２年春に１５３、秋に１５４、３年冬に１５７キロと徐々に更新。平井監督は「１年の時からレベルの高いことを言ってきた。球数を減らそう、フォークを覚えようなど、言ったことに対して『できません』とは言わない。年々成長していることが分かる選手」と４年間の進化に驚く様子はない。 　２年秋には０勝５敗と挫折も経験した。この時、父・哲也さん（４９）がくれた言葉は「らしくあれ」。試合用グラブにこの５文字の刺しゅうを入れ、ピンチの時に見るようになった。中村は「自分を忘れずに投球できるようになった」と常に心の支えになっている。

2024年　中部ゆかりの主な大学生候補

　４年で心身ともに成長し、日の丸を背負う経験もした。プロの世界で「らしく」戦っていく準備はできている。 　▼中村優斗（なかむら・ゆうと）　２００３年２月８日生まれ、長崎県諫早市出身の２１歳。１７６センチ、８６キロ、右投げ左打ち。長田小２年時に軟式の長田ジュニアクラブで野球を始め、４年から投手。長田中時代は軟式野球部。諫早農高では２年時の春、夏に県大会８強。愛工大では１年春からリーグ戦で登板し、３年春から３季連続で最多奪三振。今年３月に侍ジャパントップチームへの選出で初の日本代表。今夏には大学日本代表に選ばれた。最速１５９キロ。変化球はスライダー、フォークなど。